2009年10月12日 (月)

歌上手の悲哀(チェット・ベイカー)

考えてみれば、チェット・ベイカーほど理想的な
ジャズ・ミュージシャンはいない。
歌を歌えば、よく言われる中性的な声は十二分に
憂いを帯び、ジャズにはもってこいで、
かなりの美声である。
トランペットを吹けば歌心満点で、その表現力に
他の楽器奏者でさえ、彼のように吹けたらと、
嫉妬したくらいである。
まさにジャズを演奏するために生まれてきたと
いえるだろう。

今の若者は音楽と聞くのに、特にこれというジャンルに
こだわらず、いい曲はいい曲として、曲単位で聞くそうだ。

音楽業界もそういう人たちに向けてか、各ジャンルの
「いいとこどり」のようなコンピレーションアルバムを
たくさん出している。

ジャズもご多分にもれず定番物のコンピレーションを
毎年のようにリリースしているが、その中に
よくチェット・ベイカーの曲も良く選ばれる。

それはいいことだが、問題は歌物に限る場合が
ほとんどだということだ。トランペットの演奏のみ
取り上げているものは少ない。

チェット・ベイカーが生きている頃なら、ファンは
均等に聞いたかもしれないが、今の人たちは
コンピ盤から入ると、それからアルバムを買った
としても、

「ああ、チェット・ベイカー・シングはいいね。」

で終わるのが関の山だ。
まあ、自分自身、毎日チェット・ベイカーの歌を
聞いていた時期もあったので、えらそうなことは
言えないが。

チェット・ベイカーが空の上からその状況を
見ていたらどうだろうか。

「もっと俺の演奏の方を聞いてくれ」
と言うかもしれない。
歌にだけスポットライが当たっているのは、
きっと悲しいに違いないだろう。(づづく)

1

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2009年4月27日 (月)

ロッキーの大復活!!

ロッキーと聞いてシルベスター・スタローンのことを
思い浮かべる人が多いだろう。
でも今回取り上げる”ロッキー”とは、テーマソングの方で、
それをカバーして大ヒットさせたメイナード・ファーガソン
のことである。

残念なことに近年メイナードファーガソンは亡くなった
ので、もう”ロッキーのテーマ”「ゴナ・フライ・ナウ」
は聞けないと思っていた。

以前北九州の小倉にホールファーガソンが来た
時、そのコンサートに行くことができた。
熱望していたビッグ・バンドではなくコンボでの来日
だったが、観客を熱狂の渦の中に巻き込んだ。その中
でも”ロッキーのテーマ”が始まると、拍手と熱が一層
高まったと覚えている。

それが、ラッセ・リンドグレンと巨大星雲ビッグ・バンド
の手によってよみがえったのだ!
全曲ファーガソンのレパートリーのアルバム「金管王」
によって。あの時の興奮が再び戻ってきた。

Photo

世の中のトリビュート・アルバムの多くはただその人の
ヒット曲を集めただけのものが多い。最近ではそれに有名な
ミュージシャンをあてはめた、いかにも商業的なものが
はびこっているような気がする。
全部悪いとは言わないが。

このアルバムがそれらと違うのは、バードランド」「エアジン」
といったヒット曲のみでなく、いろいろなアルバムの中に入って
いる曲をチョイスしていることだろう。

そしてリーダーのラッセ・リンドグレンのまるで
ファーガソンが乗り移ったかのようなフレーズ、ハイ・ノート
(オクターブの高い音)に”ファーガソンのスピリッツ”
感じるのだ。ファンなら一気に超高音まで高速で駆け上がる
フレーズに、

「おおっ、これだ!」と興奮するだろう。

このアルバムに魂を吹き込んでいる存在がもう1つある。
それはラッセ・リンドグレンと共同でこのアルバムを
プロデュースしたアーニー・ガーサイドから渡された
”トランペット”である。

ファーガソンのマネージャーをしていたことのある
アーニー・ガーサイドが、実際にファーガソン
使っていた”トランペット”ラッセ・リンドグレン
このアルバムのために渡した逸話は、アルバムのライナー
ノートに書かれているが、このトランペットから発する音が
”ファーガソンらしさ”を増幅していることは間違いない
だろう。

ファーガソン・ファンにも、ファーガソンを知らない人たちにも
聞いて欲しい、「金管王」といううタイトルにふさわしい
エキサイティングなアルバムだ。

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2009年1月12日 (月)

コンボでもビッグなサウンド(村田陽一とソリッド・ブラス)

村田陽一のCDを買ったのは、
ある”勘違い”がきっかけである。

その時所属していたアマチュア・ビッグ・
バンド
で演奏した、
「放蕩息子の帰還」という曲を気に入り、
その曲が入ってるスーパー・トロンボーン
「ハロー・ヤング・ラバーズ」のCDを
CDショップで取り寄せようとしたが、
廃盤で手に入らず、たまたま同じ
トロンボーンで当時売り出し中であった
村田陽一とソリッド・ブラスのCDの中に、
原題が同じ”RETURN OF PRODIGAL SON”
という曲を発見したからだ。

カバーだと思って聞いてみたが、予想に
反して同名異曲だとわかったが、
アンサンブルはそれを補って余りあるほど、
素晴らしいものだった。
それまでトランペットの高音ばかり好んで
聞いたいた傾向が、低音のハーモニー
けっこういいぞ」と変わり始めたのだった。
それに1曲でも自分のツボにはまる曲が
あれば、それだけでもう買いなのである。

Double

1995年の作品であるこの「ダブル・エッジ」では、
「グッド-バイ・ポーク・パイ・ハット」、
チャールス・ミンガスの曲だ。
ミンガスジャズ・ミュージシャンには
受けがいいらしい。

最初はトランペット2本、サックス3本、
トロンボーン2本と思ったが、トロンボーン
は1本で、1本はチューバだった。
リズムはドラムのみ。村上”ポンタ”秀一
叩いている。なんとも変則的な8人バンドだ。
サックスの構成はアルト、テナーバリトン
が加わっているので、より低音度が濃くなって
いるのがミソで、重厚さが増している。
チューバベースの代わりをしているのだろう。
大編成のビッグ・バンドではチューバは聞いた
ことがあるが、コンボはあまり聞いたことがない。
その上各人が持ちかえでユーフォニウム
フルートソプラノ・サックスクラリネットなど
多彩な楽器を使っているので、並みのビッグ・
バンド
を軽く超えたサウンドの豊かさを持っている。

トランペットエリック宮城が加わっているので、
1曲ぐらい提供しているかと思ったが、オリジナル
曲の作曲とカバー曲のアレンジは全て村田陽一
が担当している。

人数は8人だが、ビッグ・バンドに匹敵するパワーだ。

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2008年12月30日 (火)

惜しまれつつ解散。(原信夫とシャープス&フラッツ)

原信夫とシャープス&フラッツもとうとう解散だという。
解散コンサートは山口県下松市でもあるらしいが、
3月の平日なので行くことができない。
まことに残念。
思えばジャズを聞くようになって、テイク・ジ・A・トレイン」
「ジャズ・アンリミテッド」「サー・デューク」など
数々の曲に魅せられ、レコードを買い集め、
まだ買ってないものを求めて中古レコード屋で見つける
たび即買っていた。
マリンピアくろいでは歌手の伴奏にのみだったが、
できれば1曲でも多くシャープス&フラッツのみで
演奏してくれないかと祈ったものだ。
自分にとって、日本のビッグ・バンドで一番多く
ビッグ・バンドの楽しさを教えてくれたバンドである。
ぜひともどこの開催地でもいいから、ライブCD
出してほしいものだ。

今回はCDで手に入るものを紹介しよう。
結成45周年記念でリリースされた
「アイ・ガット・リズム」がそれだ。

Sirduke

さっき言った「サー・デューク」(スティービー・
ワンダー作)
も収録されているのでジャズの曲に
馴染みのない人にもオススメだ。
ジャズのスタンダードをよく知っている人には
「ジ・インクラウド」「シャイニー・ストッキングス」
「ザ・シャドー・オブ・ユア・スマイル(いそしぎ)」

などの有名曲が入っているのでお得盤である。

これによって日本のビッグ・バンドの灯が消えないことを
望んでいる。

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2008年12月23日 (火)

悲しいのにハッピー。(ソニー・スティット)

お気に入りのジャズ・プレイヤーのCDを買った。
クリフォード・ブラウン
「クリフォード・ブラウン・モア・メモラブル・
 トラックス」


ソニースティット
「コンストレーション」、
「ソニー・スティット・ウィズ・ジャック・マクダフ/
スティット・ミーツ・ブラザー・マクダフ」、
「37ミニッツ48セカンズ」

である。
今はどれも中古レコード屋でしか手に入らない。
売れるものしか再発しないという結果だろう。
こういうのは見たときに買わねば。

今回はそのソニースティットの話だ。
彼は演奏があまりにチャーリー・パーカー
似ているということで、チャーリー・パーカー
生きている時はアルト・サックスを捨てざるを
得ず、テナー・サックスを中心に活動した。
ジャズ・プレイヤーとしては一流のものを持ちながら
革新的なものがないからか、決して正当な評価は
受けなかったという。

しかしそんなことは感じさせないくらい
ソニー・スティットサックスハッピーだ。
吹くのが楽しくてたまらないという感じだ。
そういう演奏が気に入って集めている。

そのソニー・スティットでさえも時代の流れ
には逆らえず、フュージョンのアルバムを
出さなければならなかった。レパートリーも
ジャズスタンダードではなく、1973年当時の
ヒット曲で固めたアルバムが
「ミスター・ボージャングルズ」だ。

Bojangles1

ここでのソニー・スティットは自分なりに消化して
良質なフュージョン・アルバムを作っている。
アルト・サックス中心で演奏しており、
「ミスター・ボージャングルズ」、
「世界はゲットーだ」、
「やさしく歌って」
などいつもとはまったく違う
レパートリーをしていても、そのハッピーさは変わって
いない。
ただアドリブになるといつものような音の激流と
なり、演奏曲目は変われどもスピリット
本格ジャズを演奏している時と変わっていないぞ
といっているようだ。
ローランド・ハナエレクトリック・ピアノ
コーネル・デュプリギター
リチャード・ディヴィスエレクトリック・ベース
フュージョンの初期の頃のいい雰囲気をかもし
出している。
その上フルートフレンチホルン、ヴィブラホーン、
さらにドン・セベスキー指揮のストリングス入りで
フュージョン・アルバムとは思えないくらい豪華で
せいたくなサウンドになっているのがスゴイ。
個人的にはマイケル・ジャクソンの歌で有名な
「ベン」をオススメする。

ジャケットもいつものアーシー(泥臭い)な感じから、
オシャレな感じになっているのがいい。
タップダンサーの格好だというが、裏面のジャケットを
みるとミュージカルスターのようで、今にも歌って踊り
そうだ。ジャケットはアルバムの曲目とは直接関係
なさそうだが、彼のサックスは十二分に歌って
踊っている。

Bojangles2

そんな上質のアルバムなのだが、他で取り上げられ
見たことがない。想像するに、今度は

”スティットらしくない”
”本格派ジャズでない”

ということで埋もれて言ったのではないか。
全くジャズ・ファンというのは勝手なものだ。
実力がありながら不幸である。
最後のライブは日本で、その時は末期のガンに
おかされていて、まともに吹けなかったそうだ。
それでも本格的なジャズを受け入れてくれる
”日本”という国を愛し、文字通り命をかけて
来日したのだ。

帰国後数日で彼は帰らぬ人となった。

悲しいくらい不幸な人生だが、
その人生を感じさせないくらい彼の演奏は
ハッピーである。
サックスが吹けて、レコーディングできて
アルバムが出せれば彼はハッピーだったのだろう。
ソニー・スティットは58歳の生涯で100枚以上
アルバムを残している。

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2008年12月 7日 (日)

オリオンの星座の下で

のこの時期になると、家に帰り着く頃には
オリオン座が目の前に迎えてくれる。

いつも夜は帰りが午前12時前になることが多く、
当然バスもないので、タクシーでのご帰還となる
のだが、タクシーを降りたとたん、家の屋根近く、
2階からなら手が届きそうな位置にオリオン座
見えるのだ。(もちろん手が届くわけないが。)

こんな時どん曲が一番合うか考えてみた。
最近お気に入りになった「スター・アイズ」なんか
いいんじゃないか。

では誰の「スター・アイズ」がいいかとなると、
そうたくさん聞き分けているわけではないので、
限られてくるが、その中から最高と思うのが
「ヘレン・オコーネル」の歌だ。
満天の星空の下で歌っているような、とても
ムードのある歌である。インストのバージョン
よりこの曲は歌の方があうと思える。

ヘレン・オコーネル/グリーン・アイズ

この曲が収録されているのが、
「グリーン・アイズ」というアルバム。
ジャケットの写真が、緑色のバック
緑色のドレスに揃えていて、なかなか粋である。

1957年の作品で大時代的な演奏が今は
シャレて聞こえる。
ヘレン・オコーネル自身は抑揚の大きい歌い方で、
多少大仰にも聞こえなくもないが、個性的とも
言える範囲だ。
ハープを前面に出したストリングス・オーケストラ
歌をひきたてている。
このぐらいの歌い方がオーケストラをバックにした時
歌が負けることなく輝きを増すのだろう。

他にも「タンジェリン」という曲では管楽器をを中心
としたオーケストラに変わって、ダイナミックな
歌を披露する。曲によって変化に富む構成だ。

気合の入った歌唱を聞きたいなら、
この歌手は最適だ。

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2008年12月 4日 (木)

トランペットの詩人の面目躍如!(トニー・フラッセラ)

とかくメディアミュージシャンをつけたがる。
ジャズ・ミュージシャンも同じ。
帝王、公爵、伯爵、神様、伝道者。泣きのアルト
トランペットの詩人...。

トニー・フラッセラ/トランペットの詩人トニー・フラッセラ

”トランペットの詩人?”
それはよさそうじゃないか。
トランペッターを特集した本でそのフレーズを見た
のが始まりだった。
しかもその上”幻の名盤”がまた付く。
それでは手に入らないのだろうか?

幸いにもそのトランペッター
「トニー・フラッセラ」
のCDがあった。
でも紹介されているのと違うようだが。

トニー・フラッセラ/PERNOD

早速聞いた。でもどこが詩人なのだろう。
明るく軽快なトランペットのサウンドで、
憂いを帯びた曲もたまにあるが、
全体的には楽しい音楽というイメージしか受けなかった。

他にはないものか。そう思い、見つけるとためらわずに
買い、長い間かけて、3枚手に入った。
でも、その3枚を通して聞いても、”詩人”という言葉は
ピンと来なかった。

半ばあきらめかけていた時、最近になって
幻の名盤
”トランペットの詩人トニー・フラッセラ”
アルバムが見つかった。
どうやら2006年に紙ジャケット仕様で再発していた
ようである。

見つけた場所は某大型家電店で、そこは
一時CDを取り扱うのをやめていたが、
最近リニューアルされて再開したようだ。
どういう巡り合わせか知らないが、手に
入るときはこういうようなものだ。

一聴して”これか!”と思った。
これなら誰でも”トランペットの詩人”と言わずに
おれないだろう。
曲がどれもいい。思わず口ずさみたくなるぐらい
歌になっていて、トニー・フラッセラの決定盤
と言わざるを得ない。
明るく軽すぎると思ったトランペットの音が、
共演のテナー・サックス、バリトン・
サックス、トロンボーン
の低音陣に
支えられて、深みを帯びたように感じる。
哀愁をたたえた曲がさらに一層冴え渡る。
幻の名盤はただ稀少なだけということを
何かの本で読んだが、これは紛れもなく、
名盤であり、名演である。

それもそのはず、公式的にはトニー・フラッセラ
のリーダー・アルバムはコレ一枚なのだ。
じゃあ、今まで買ってきたのは?
後からライブ音源をトニー・フラッセラ名義
しただけのものかもしれない。

参考までに言うと、テナー・サックス=アレン・
イエーガー、バリトン・サックス=ダニー・バンク、
トロンボーン=チョーンシー・ウェルシュ

なっている。

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2008年11月30日 (日)

耳に残る声を求めて(マデリン・ペルー)

前にティル・ブレナーのCDを聞いたとき、
1人の女性ヴォーカルの歌に耳を奪われた。
そのアルバムには3人の女性歌手がゲスト
出演していたが、たった1人だけだ。
これは”ひと耳ぼれ”というようなものだろうか。

ライナーノートを見た。彼女の名前は
「マデリン・ペルー」。CD屋で探してみた。

マデリン・ペルー/ケアレス・ラブ1

「ケアレス・ラブ」というアルバムがある。
日本盤のみスリップケースとなっていて、
プラケースの上に両脇のあいた箱状というか
筒状にというか紙製のもう1つのジャケットが
存在する。おまけに内と外では表紙の写真が
違うという仕組みだ。

驚いたことに両方の写真の印象がガラリと
異なっている。外はストリートにすわりギターを
弾いている可憐なパリジェンヌといった雰囲気。
しかし内はほおづえをつきながら、じっと正面
をじっと見ている、酸いも甘いもかみ分けた
大人の女性というというイメージ。
1人の女性でも撮りかたでこうも違う。

マデリン・ペルー/ケアレス・ラブ2

ジョージア州出身マデリン・ペルーだが、
母親がフランス人なので、両親の離婚後パリに
移り住んだそうだ。そこでストリートミュージシャン
たちと知り合ったことが歌手になったきっかけ
という。

そのせいか彼女にはヨーロッパ的なムード
感じられる。歌声もほどよい気だるさを含む
ソフトな歌い口だが、ジャジーなメロディーに
よく溶け合う。

そうそう、この歌声が聞きたかったのだ。

今まで気合の入ったいかにもジャズ・ヴォーカル
といった古いアルバムを聞くことがおおかったので
これは新鮮だ。現代はこの人とノラ・ジョーンズ
ようなジャジーといった歌手を求めているのだろう。
しかしノラ・ジョーンズジャズというより
カントリー・ミュージックようだが、マデリン・
ペルー
ジャズ・ヴォーカルだと思った。

1996年にはデビュー・アルバム「ドリーム・ランド」
をリリースし、このアルバムがセカンド・アルバムと
なるが、その間に8年の歳月が流れる。デビュー
しても売れなければ次がない8年の歳月はそういう
ことなのか。

2つのジャケットを見ての”ファースト・インスピ
レーション”
の二面性はその間の彼女の努力や
経験に所以(ゆえん)するのかもしれない。

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2008年11月29日 (土)

コンサートのご案内

先日ここでCDを紹介した横田年昭さんから
コメントをいただきました。
本当にありがとうございます。
コメント欄だけだと自動に表示しないことに
気づいたので、こちらの大きなスペースで
ご紹介いたします。
なお、いただいた原文のまま掲載します。

始めまして、12月22日(月)ジェームス滝
(私の最初のグループのボーカリストであり
森山直太朗の父親)と新宿曙町ライブハウス
“Back in Town”に出演します。詳細は


http://www.nike-soft.com/test/2008p01/tutibuefuki/liveinfo.html

3月29日赤羽“静勝寺”にてリサイタルの予定です。
お時間がありましたら、是非いらして下さい。横田年昭


横田さんのホームページは自然をテーマにした
心洗われるいい写真がたくさんUPされています。
ぜひそちらの方もご覧になってください。

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2008年11月23日 (日)

ボサノバ好きがボサノバに飽きたらジャズへの近道

せっかくボサノバをかじったのだから、歌物でなく
インストで聞いてみたい。
幸いなことにボサノバがアメリカに流入した1960年代
初頭に多くのジャズプレイヤーがレパートリーに
とりあげて、中には1枚全部ボサノバ・カバー集
出したり、1、2曲はさむプレイヤーがいたので、
CDを買う時気に入った曲が入っていると、いの一番
に買った。

最近好みはサックス・プレイヤーなので、様々な
プレイヤーのCDやレコードを聞きたいが、
そこはそれお金がかかるので、絶対はずせない
という気持ちがあり、同じプレイヤーばかり買って
いた。(ソニー・スティットソニー・クリス
ジョニー・グリフィンなど)
それなのでコールマン・ホーキンスにはなかなか
行き着かなかった。

コールマン・ホーキンス/デサフィナード

このアルバムは1962年の作品で非常に入りやすい。
ボサノバの知っている曲があるというのは強みで、
理屈なく楽しめる。(デサフィナード、ワンノート・
サンバ
等)最初はテナーサックスの低音が
ボサノバに合うのかなどと考えたが、ウォームな音色で
共演者がギター、クラヴィコードトミー・フラナガン
が弾いている)、ベース、ドラムとなっており、気持ちよく
のめりこめる。
これならボサノバしか聞かない人が聞いてもOKと
いうだろう。

ジャズからボサノバ入る、ボサノバからジャズに入る
という道があってもいいだろう。音楽的に豊かになる。

ボサノバ好きがボサノバに飽きたら、これをオススメ
する。

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2008年11月 8日 (土)

哀愁のアレンジャー、ドン・メンザ

ルイ・ベルソンバディ・リッチ
ビッグ・バンドアレンジャー
ドン・メンザがいる。
バディ・リッチの曲で最近TV番組のBGMで
よく使われる「タイム・チェック」ドン・メンザ
よるものだ。
DJなどに評判がいいのか、クラブ・ジャズ系
コンピレーション・アルバムにも収められている。
(リターン・オブ・ジャズ)
クインシー・ジョーンズアーニー・ウィルキン
ベニー・カーターなどアレンジャー兼ビッグ・バンド
のリーダー
という人は多い。ギル・エバンス
多くのコンサートや自己のビッグ・バンドでジャズ・
クラブに週一ライブをしていたので、これはもう
別格だろう。

ドン・メンザも例外ではない。
手元にあるアルバムが輸入盤なので、
どのくらい続いているのか、どのくらいアルバムが
出ているのか定かではないが、ドン・メンザ
持つエキゾチックな魅力あふれる曲が聞かれるので、
一時期毎日聞いていた。

ドン・メンザ/バーニン

ドン・メンザバラードには特徴があって、
スパニッシュ・ムードあふれるものなので、
聞けばすぐにわかる。
ルイ・ベルソン・ビッグ・バンドの別の曲でも、
もしやドン・メンザの曲ではと思うとたいてい
そうだったりする。一度はまるとやめられない、
そんなテイストなのだ。

ネットで見るとドン・メンザ名義ビッグ・バン
作品は他にもいくつかあるようだ。元々は
テナー・サックス奏者で、ルイ・ベルソン・ビッグ・
バンド
でも演奏が聞くことができる。

このアルバムは、バティ・リッチルイ・ベルソン
のビッグ・バンドで培われたダイナミックさと、
スパニッシュな情緒の両方を併せ持つ、
お得なアルバムなのだ。

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2008年11月 5日 (水)

アフロ・ジャパニーズ横田年昭

フルートという楽器は持ち替えならまだしも、
以前はメインで演奏されたものにあまり
興味がなかった。
だが、バド・シャンクの存在を知ってから
状況が変わった。なぜなら、自分の中では
バド・シャンクアルト・サックスを吹いて
いるより、フルートの方がしっくりくるほど
はまっているように思えたからだ。

それからというもの、フルート物でも
違和感なく買えるようになった。
またジャズの深みにはまったようだ。

そんな時に出会ったアルバムがあった。

「フルート・アドヴェンチュアー
太陽はまだ暑く燃えていた…」


横田年昭とビート・ジェネレーションの作品
である。

横田年昭/フルート・アドベンチャー

黒く燃える太陽の中でフルートを吹いている
ジャケットの写真と「太陽はまだ暑く燃えて
いた…」
のサブタイトルが70年代ぽくて、
ただならぬエネルギーを感じさせた。
変わったものが好きだから、買ってしまい
たくなった。が、でも昔の日本のジャズの知識が
なかったので、棚から出しては見、また戻すの
繰り返しで、本当に買うまで2,3ヶ月はかかった
だろうか。

なんというリズムの洪水、なんという灼熱の
太陽
のようなエネルギッシュなフルート
狂乱。おまけにロック・リズムに乗ったかなり
黒いサウンドだ。効果的に飛び込んでくる
エレクトリック・ギターが、熱狂をさらに増す。
時々叫び声がインサートされる。70年代の
不穏な空気
をはらんだパワーのほとばしりが
伝わってくる。
目の前にアフリカの大地が見えるようだ。
このサウンドだけ聞いて、日本人が作った
曲だと思うだろうか。陽気な気質の日本人を
”ラテン系”と言っていたが、それなら、
アフリカ系日本人、アフロ・ジャパニーズ
いうのは言いすぎだろうか。
それほど”黒い太陽”に浮かされたような
音楽なのだ。

後半は「黒いオルフェ」などのボサノバ
サンバが中心となり、うってかわって
フルートのソフトな音色を活かした穏やかな
曲風があったり、まだ終わっていないぞ
とばかり、大騒ぎの「オルフェのサンバ」
入っているたりする。
最後まで飽きさせず祭りはフィニッシュを
迎える。

ライナーによると猪俣猛の”サウンド・リミテッド”
に参加したり、TVドラマ「サインはV」を自己の
グループで吹き込んだり、数々の映画音楽に
かかわったりしている。

聞くほうにも闘いを挑んでくるような作品なので、
覚悟した方がいい。

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2008年11月 2日 (日)

このCDが欲しいために10枚も買ったのだ。

オーボエと言う楽器。

クラシックでは当たり前のようにオーケストラに
組み込まれている楽器だが、ジャズで使われる
のは珍しい。
珍しいから特に気に入ったのか。それとも
フルートとの組み合わせが絶妙だったからか。

そもそもちょっと変わった楽器の音色が
けっこう気になるのだ。
ギル・エバンスの時はギルミニ・ムーグ
(初期のシンセサイザー)やハワード・ジョンソン
チューバであったり、エリック・ドルフィー
バス・クラリネットだったり、メイナード・ファーガソン
の吹くバルブ・トロンボーンだったり。
他にジャコ・パストリアス・ビッグ・バンド
スティール・パンなどだ。

それらはそれ自体単独でありながら、バンドに
いきいきした活力をもたらしている。
でも他の楽器との相乗効果で、
”唯一無二”のものになることもある。

ボブ・クーパーオーボエバド・シャンク
フルートがそれだ。

「ザ・フルート&ジ・オーボエ/バドシャンク&
ボブ・クーパー」

ザ・フルート&ジ・オーボエ

最初中古レコード屋でこのレコードを見たとき、
子供の写真を使ったジャケットに目が止まり、
未開封というコメントにひかれた。
内容もわからず買ってしまったのである。

いわゆる”ジャケ買い”だ。

聞いてみると内容も良かった。
フルートオーボエハーモニーが、
上質な室内楽のような楽しさをかもし出し、
こころが穏やかで温かい気持ちになった。
いままでガンガン、バリバリ、イケイケな
ジャズばかり追いかけていたのが、
うそのようだ。

このアルバムはレコードしかなく、
CDは出ていない。
だが例外はどこにでもあるのだ。

少し前にパシフィック・ジャズ決定盤1500
というCDのシリーズが発売された。
そのキャンペーンで全20枚のうち10枚買ったら
どこにも売っていないプレゼントCD1枚進呈
プレゼントのCDは2種類あった。
その1つにこのアルバムがあったのである。

昔だったら10枚買うなんて、と思っただろうが、
まあ、定価が安かったこともあるし、興味が
湧いていたバド・シャンクのラインナップが
たくさんあったので、ジャケットのデザインの
良さも手伝って、ついつい買い集めてしまった。
さすがに短期間で20枚は無理なので、
10枚にとどまったが、
おかげでいままで敬遠していた”軽い”と
思っていたウエスト・コースト・ジャズの本当の
良さがわかってきたような気がする。
そのうえ、ジャズの好みも少し変化したようだ。

スタンダードの「言い出しかねて」をはじめ、
いい曲ばかりなので、レコードを見つけたら
手に入れて聞いて欲しい。
もしそのものが手に入らなくても、
いつもはアルト・サックスバド・シャンク
フルートに、テナー・サックスボブ・クーパー
オーボエに持ち替えた曲が入っている
「ザ・バド・シャンク・カルテット・アット・
カル・テク」
をオススメする。

Caltech

パシフィックジャズ決定盤1500のシリーズ
うちの1枚。黄色い背表紙が目印。)

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2008年10月19日 (日)

「ニカの夢」三番勝負!!!感涙のその3

真打ち登場である。

といってもリリースされたのは1988
今から20年も昔。
しかし、古い新しいは関係なく、これが
決定版といえるのだ。

東京アンサンブル・ラボ/ブリーズ・ザ・シーズン

ホレス・シルバーの原曲と聞き比べても、
元がコンボで、こちらがビッグ・バンドである
のを差し引いても、曲から受けるインパクト、
聞き応えという点で、この曲は初めから
フル・バンドで演奏される運命の曲だった
ように思えるのだ。
コンボという枠では十分に良さを発揮できない、
ダイナミックさがあるのだ。

そもそもこの「ニカの夢」という曲は名前だけは
知っていたが、最初に聞いたのはコレだった。
しかもリアル・タイムではなく、今から10年ぐらい
前になる。

その時は豊前のアマチュア・ジャズ・ビッグ・バンド
入っていたので、指導してくれるプロのミュージシャン
などから、プロが実際に演奏した楽譜をコピーして
もらったり、末席ながらも同じ舞台に立ったりして、
練習はきついけれども、楽しい日々だった。
確かこの楽譜は市販されたスコア集を借りて人数分
コピーしたものだったので、それぞれのパートを個人で
採譜していく作業もあった。
結局各楽器、各パートのレベルが高すぎて、通して
練習することもできず、ボツになってしまったが、
その時に楽譜を読むためにカセット・テープに録音
してもらったこの曲に、このアレンジにはまってしまった
のだ。

レコードやCDを探したが、廃盤という事で見つから
なかった。その後何年かして小倉のラフォーレの
7階の中古レコード・CD市で手に入れたが、
その時はもう、アマチュア・バンドはやめていたので、
最初に聞いてから5年以上は経っていたのだろうか。

このアルバムの演奏は「東京アンサンブル・ラボ」、
アルバムタイトルは「ブリーズ・フロム・ザ・シーズン」
角松敏生が「ディスコで踊れるフル・バンド」
目指して、臨時に集められたものだ。
他の曲はすべて時代からかメローという感じの
フュージョンが主で、その当時聞けば斬新だったのかも
しれない。その中でこの「ニカの夢」のみが本格的な
ジャズ・ビッグ・バンドなのだ。
むしろこの1曲がなければ、このアルバムも忘れ去られて
いただろう。

アンサンブルハーモニーアドリブも一部の隙もない。
演奏がタイトでありながら、ダイナミックなのだ。
他の曲は悪い言い方をすれば、力のぬけたフュージョン
なのに、なぜこの1曲のみ素晴らしい曲が出来上がった
のか。神の恵みとしかいいようがない。

そう思う人が他にもいたのだろうか、この「ニカの夢/
ニカズ・ドリーム」
のみコンピレーション・アルバム
「バトル・ジャズ・ビッグ・バンド・アルティメット・
ファースト・チューン」
で聞くことができる。

バトル・ジャズ

もう1曲「レディー・オーシャン」を収録したコンピ
レーション・アルバムが「JAZZFINE」である。

ジャズ・ファイン

こちらは趣きの全く違う上質の”フュージョン”
なので2曲を聴き比べると、とても同じアルバム
に入っていたとは思えないだろう。

バトル・ジャズ-ビッグバンド・アルティメット高速チューン バトル・ジャズ-ビッグバンド・アルティメット高速チューン

アーティスト:オムニバス
販売元:BMG JAPAN
発売日:2006/08/23
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JAZZ FINE-TV+MOVIE HITS and jazzy music- JAZZ FINE-TV+MOVIE HITS and jazzy music-

アーティスト:オムニバス,五十嵐はるみ with ジョン・ピザレリ,ロス・インディオス・タバハラス,ニキ・ハリス,シカゴ,マイケル・マッサー feat.ジョージ・ベンソン
販売元:BMG JAPAN
発売日:2004/08/25
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2008年10月11日 (土)

「ニカの夢」三番勝負!!怒涛のその2

「熱帯JAZZ楽団V」
(つまり五枚目のアルバム)

熱帯JAZZ楽団V

バンドの名前どおり、ギラつく太陽の国のような
音楽だ。目の前で人々がラテン・ダンス踊っている
情景が見えそうなぐらいラテン・リズムの楽しい
ジャズになっている。このサウンドを聞いていると、
ビッグ・バンドのルーツがダンス・バンドというのが
わかるというものだ。

「ニカの夢」も完全にラテン・タッチの思わず踊り
出したくなるようなアレンジになってっている。
ラテン・バンド特有のフレーズを盛り込みながら、
ビッグ・バンドアンサンブルの楽しさも十二分に
引き出しているパートもあり、感激する。
音のキレもいい。よくぞここまでラテンの曲にできた
ものだとうれしくなる。

途中サンバの別の曲のようになるが、ノリのよさで
それさえも面白い演出に思える。すぐにテーマに
戻り、ラストへとなだれ込む。
異色の「ニカの夢」を聞きたい方には特にオススメで
ある。

このビッグ・バンドのレパートリー、このアルバムだけ
でも、マイケル・ジャクソンマイ・フェア・レディー
11PMのテーマ007~ジェームス・ボンドのテーマと多彩な上、うまくラテン・アレンジに変えているので、ぜひ聞いてほしい。

熱帯JAZZ楽団 V 〜La Noche Tropical〜 熱帯JAZZ楽団 V 〜La Noche Tropical〜

アーティスト:熱帯JAZZ楽団,アルベルト
販売元:ビクターエンタテインメント
発売日:2001/06/21
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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2008年10月 9日 (木)

「ニカの夢」三番勝負!その1

たまにはの方に焦点をあててみよう。
それも特定の1曲に絞って聞き比べると、
それぞれのバンドの特色が出て面白い
じゃないだろうか。

今回は「ニカの夢」を演奏したビッグ・バンド
を3回に分けて紹介しよう。それぞれにカラー
が違っているので、興味があったら聞いてほしい。

その前に曲の紹介をしよう。
1960年にファンキー・ジャズの父、ホレス・シルバー
”ニカ男爵夫人”に捧げて作曲したもの。この
”ニカ男爵夫人”ジャズに貢献した有名な
パトロンで、この人がいなかったら、チャーリー・
パーカー
セロニアス・モンクもいなかったといえる。
ホレス・シルバー本人による演奏や、アート・
ブレイキー
とジャズ・メッセンジャーズ
による演奏
も有名である。

1枚目はペーター・ヘルボルツァイマー「ワイド・
オープン」
から。彼のオーケストラ”リズム・コンビ
ネーション&ブラス”
が演奏したものだ。

ペーター・ヘルボルツァイマー/ワイド・オープン

まだ小倉にタワー・レコードがある頃に、ユニークで
目をひくイラストのジャケットと、ニカの夢」
ビッグ・バンドが取り上げていることで買ったものだ。
リーダーはトロンボーンペーター・ヘルボルツァイマーで、彼の率いる”リズム・コンビネーション&ブラス”はほぼヨーロッパ出身者によるオーケストラだ。他に
ジャズをよく聞く人にはなじみの深い、アート・ファーマー
(トランペット)ハーブ・ゲラー(サックス各種ニールス・ペデルセン(ベース)などのプレイヤーも参加している。1973年の録音で、CDで発売されるまで、かなりレアな音源だったらしい。

同じくヨーロッパで活躍して日本でも有名な、
ケニー・クラーク=フランシー・ボーラン・ビッグ・
バンド
に似た流麗で音の厚いアンサンブルを披露して
いるが、他のビッグ・バンドと似て非なるものは、
中音域から低音域を基本としたどっしりとした音作りで、
けっして鈍重な感じではなく、よくスウィングするので
聞いているうちにドライブ感が増していく。
さらに、ピアノではなくオルガンエレクトリック・ピアノ
を使っているので、サウンドがよりソウルフルなムード
包まれている。

このビッグ・バンドの演奏する”ニカの夢”は、
メロディー部分にフルートを起用しているので、
ダイナミックさに加えて繊細さも表現できている。
ここではオルガンでなくエレクトリック・ピアノ
エレキ・ギターを使うことによって、オリジナルより
70年的なエレクトリック・サウンドを加味したところが
特長だ。ブラス・ロック的でハイ・テンポなアンサンブル
とのバランスが取れていて絶妙である。
パワフルなサックスのアドリブとバックから盛り上げる
他の楽器パートの掛け合いも興奮ものだ。

他にもバラエティに富んだ曲調のものばかりなので、
ぜひとも聞いてほしい。
日本盤でも発売されているので、手に入りやすいと思う。

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2008年10月 5日 (日)

どこで知ったかボビー・シュー。

レコードCDを長年買い続けていると、
「こんなものまで買ったのか」とか、
「買ったはずと思ったがない」という
不都合があったりする。
まあ、全く買った覚えがないというところ
まではないが。

さてこの一枚、ボビー・シューリーダー・
アルバム
だ。このレコードが棚の中にあるのは
わかっていた。でもどうしてもはっきりしない
ことがある。

「ボビー・シューって誰だ?」

ボビー・シュー/ユー・アンド・ザ・ナイト・アンド・ザ・ミュージック

ジャケットからトランペットだとは判別できる。
でもどこで知ったんだろう?

ライナー・ノーツを読む。経歴に”秋吉敏子&
ルー・タバキン・ビッグ・バンド”、
”バディ・リッチ・
ビッグ・バンド”、
”ルイ・ベルソン・ビッグ・バンド”

とある。
おおかたその中のどれかのレコードを買ったときに
名前を覚えたのに違いない。

おおっ、そうだ!!
ライブ盤ではソロをとるプレイヤーの名前が曲の後に
アナウンスされる。
試しにルイ・ベルソン・ビッグ・バンド「ダイナマイト」を聞いてみる。

これか。

演奏に感激したのかアナウンス
「ボビー・シュー!ボビー・シュー!!」
と連呼している。
どうやらこのへんのようだ。

まだ肝心のレコードの内容にふれていなかった。
1981年録音のスタンダードが数曲入った、全7曲である。
「ユー・アンド・ザ・ナイト・アンド・ザ・ミュージック」
を知っていたのが購入の決め手になったのに
違いない。(以前にCMでビル・エバンスのバージョン
が流行った時期があった。)

ボビー・シュートランペットとフリューゲルホーンは、
あったかく、柔らかい音色でハイ・ノートまで昇りつめる
心地よさがある。聞いていてなめらかなそのソロは、
極上のあじわいの酒の様なソロである。

一日のうちにいくつものスタジオ録音やバンドを
掛け持ちするほど引っ張りだこだというボビー・シュー
である。その中にバド・シャンクのバンドもあったと聞く。
買ったときはまだ知らなくて後にファンになった
バド・シャンクフルートも聞かれる。
いつもならリーダーであるバド・シャンクが今回は
サイドにまわり、ボビー・シューを引き立てている。

こうやって人はつながっている。実力がありながら
リーダー・アルバムを出すことのできない人は
いくらでもいる。
ボビー・シューは下積み時代のあった人だ。
ソロがとれるポジションに至るまで苦労して、
ドラッグにおぼれたこともある。
様々な人々に支えられて復帰して成功をおさめ、
ここにこの1枚のアルバムがある。

ボビー・シューをどこで知ったかは、
あまり意味のないことだった。
この1枚がボビー・シューという
ジャズ・マンの存在を証明している。

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2008年9月30日 (火)

ジャコ・パストリアスよりスゴイ鈴木勲。

最近リリースされた鈴木勲「ソリチュード」
買った。若い頃の帽子をかぶって鼻の下のみに
りっぱなヒゲをはやしている写真はよく見たことが
あったが、今や白髪、白ヒゲの仙人のようである。
ジャケット中の写真を見るとファッションはやはり
派手のようだ。
ジャケット表は青いフィルターを全体にかけた中に
鈴木勲と”纐纈雅代”(こうけつまさよ)の2人が写って
いる。パッと見ブルーノートのジャケットの風だ。

鈴木勲/ソリチュード

で中身はというと。ブルーノートよりかなりとんがって
いる。
スタンダードを演奏しながらそれをぶっ壊すかのような
バリバリにフリーなアプローチをアルト・サックスの
纐纈雅代。曲全体を通してみると破綻が気持ちいいほど
曲のアクセントやカラーになっている。鈴木勲のベース
はいつも以上に鮮明で力強く、常に全ての
メンバーとバトルしているようだ。

なんと今年、鈴木勲は75才!!
それなのにこのモチベーションの高さは何だ。
他のミュージシャンがスタンダードを演奏すると
バイ・リクエスト的なまとまった感じになることが
多い中、70年代から80年代の日本のジャズ
(フュージョン以外のメインストリーム、フリーを含む)
を彷彿とさせる意欲が感じられる。
纐纈雅代のアルトの音はとても最近の新人の中では
異色で型破りである。以前はこんなフリーな表現をする
プレイヤーは多くいたけど、今はあまり見ない。
かなり期待大だ。

少し前にマイ・ブームだったジャコ・パストリアスの晩年
は、躁鬱病やドラッグ、大量のアルコール摂取により、
誰も彼本人とは気づかないほど落ちぶれていたらしい。

ジャコがピークを過ぎて過度の期待のプレッシャーに
押しつぶされていったのに比べ、この鈴木勲の探究心
はすごい。
”ジャズ””ジャズ”という型にはまってしまった昨今で、
ジャズは常に進化するものだ”ということを体現して
いる存在であると思う。

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2008年9月28日 (日)

レジスタンスに白旗を上げた日(セロニアス・モンク)

セロニアス・モンクの曲をカバーした
プレイヤーの曲がいいと思うようになったなら、
そこから原曲に行ったらどうだろう。それでも
イヤだと言えるだろうか?

ウイントン・マルサリスのアルバムでも多くの
モンクの曲をカバーしている。それに興味を持ったら、
元の曲を聞きたくなるのが心情だろう。
その中で一番グッと来た「グリーン・チムニーズ」
探してみよう。

あった、あった。アンダーグラウンド」というアルバム
に収録されていた。CDを探してみたが、レコードしか
なかったので、それを購入。

セロニアス・モンク/アンダーグラウンド

フランスのレジスタンスをイメージした表ジャケット。
銃を肩からかけピアノを弾いているモンクの姿が
勇ましい。それをひっくり返すと、裏は黒地デカデカと
白くエッチングのように描かれた数々の帽子のイラスト
と、その下にに白い文字で解説が書かれている。
筆跡そのまま載せているので、何かと思ってみると
なんと”植草甚一”解説というかエッセイだった。
帽子のイラストも植草甚一の手による。
定価1,800円の時代なので、ずいぶん古いレコードだな
と思っていたが、意外と掘り出し物であった。
何だったか忘れたが、輸入盤で作家でジャズ評論家で、
「ジャズ・カントリー」という有名な小説を書いた
”ナット・ヘントフ”の署名を見つけた時以来の感動で
ある。

Underground2

そうそう、曲の方が目的だったのだ。すっかり忘れていた。
聞きたかった「グリーン・チムニーズ」はカバー物と比べて
更に緊迫感がましている。セロニアス・モンクの存在感が
他のプレイヤーに与えているプレッシャーからくるのか。
当然ながらカバーよりもはるかにいい。なぜ今まで敬遠
していたのだろうか。今や堰を切った水のように洪水に
なって押し寄せてくる。
「イン・ウォークト・バド」これも少し聞いたことがあったぐらい
だったが、このバージョンはジョン・ヘンドリックススキャット
になっていて、インストだけの時よりもかなりポップなものに
なっている。

「アンダーグランド」という題名から、暗くて、難しいものを
イメージしていたが、なぜか他のモンクのアルバムよりも
エンターテインメントに富んだアルバムと感じた。

OK! 降参だ!!
ここで白旗を上げよう。もうセロニアス・モンクの虜だ。

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2008年9月27日 (土)

マイ・ベース・ヒーロー鈴木勲

自分のベースマイ・ブームはたびたび変わる。
他の楽器トランペットサックスは比較的変わら
ないのだが、ベースとなると不動というわけでは
ないのだ。

例を挙げると、オスカー・ペティフォードロン・
カーター
チャールス・ミンガスジャコ・パストリ
アス

単に集中してレコードやCDを買って聞いていた
のにすぎなく、その人やグループの作るサウンド
が気に入っていたのだが、ジャコベース・
プレイヤー
としても、サウンド・クリエイターとしても
好きだったので、長く続いた方だ。

そのジャコに最近取って代わったヒーローが出てきた。
といってもかなり古くからやっている「鈴木勲」である。

和ジャズに興味を持って、たまたま買った一枚の
レコードに最初はすぎなかった。
が、針をレコードに落とした直後、衝撃が走った。

鈴木勲は自らベースでメロディーを弾く。他のベース・
プレイヤー
は伴奏かメロディーを弾いてもくぐもった
音で、一時聞いていないと何の曲かわからないものも
ある。

鈴木勲は違った。弾き始めの1音から鮮明で力強い。
ジャズのカッコよさを体現しているといえるフレーズ。
ズシーン、ズシーンと腹の底に響くような音で曲を
紡がれると、いつしか他の楽器よりもベースの音を
耳が追っているのに気づく。ジャコ・パストリアスより
先にメロディアスなベースを弾いていた人がいた
なんて、知らなかった。

鈴木勲/ブルー・シティ

「ブルー・シティー」を聞いているうちに気になる曲が
あった。
「45丁目」ベースがソロでメロディーを弾く曲だが、
よく知る曲であった。でも名前が違うのはなぜだろう?
もう一度聞き直したが、やはり同じだ。

「スウィート・ラブ・オブ・マイン」と。

ウッディー・ショーの曲のはずだが鈴木勲作曲となって
いる。マイルス・デイヴィスがメンバー作の曲を自分
名義にしていた例もあるので、”ジャズ特有の複雑な
事情”かと思った。

しかし後に知ったことだが、ウッディー・ショーとの共著
ということらしい。

この曲1曲で、ジャコ・パストリアスより鈴木勲が
「1番」となった。

ブルー・シティ(紙ジャケット仕様) ブルー・シティ(紙ジャケット仕様)

アーティスト:鈴木勲カルテット+1
販売元:Sony Music Direct
発売日:2006/12/20
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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2008年9月23日 (火)

夏男の別の顔。(続ハリー・アレン)

今回はハリー・アレンの別の顔の話。

「ダウン・フォー・ザ・カウント」カウント・
ベイシー
へのオマージュを捧げたアルバム
である。当然のようにおなじみの曲がライン・
ナップされている。

ハリー・アレン/ダウン・フォー・ザ・カウント

「トプシー」「エイプリル・イン・パリス」が選曲
されているのは誰でも納得するところだが、
うれしいのは他のプレイヤーが取り上げることの
少ない「リル・ダーリン」「キュート」が入っている
ことだ。前者がスロー・バラードで後者がアップ・
テンポの違いはあるが、どちらも大甘の
耳に心地よい曲だ。スタンダードで言ったら、
「マイ・ワン・アンド・オンリー・ラブ」ぐらい甘い。
ジャズに詳しくない人はスイーツ系の曲と思って
もらってよい。
他には「スプランキービッグ・バンドでしか
候補に上がらない曲なので、いかにベイシー
心酔して製作されたアルバムかがわかる。
ベイシーのいいとこばかりを取ったアルバム
なのだ。
ベイシーを聞いたことのない人にもオススメ
できる一枚だ。

ダウン・フォー・ザ・カウント ダウン・フォー・ザ・カウント

アーティスト:ハリー・アレン・クインテット
販売元:カメラータ・トウキョウ
発売日:2007/10/20
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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一年中夏男。(ハリー・アレン)

夏といったらすぐ浮かぶ名前がある。
J-POPではチューブ。
ジャズではハリー・アレンではないか。
それも一年中、やってる曲がボサノバで、
夏の香りでいっぱいだからだ。
それも朝聞くのが一番いい。WAVE」
なんかさわやかさ満点だ。

ハリー・アレン/アイ・キャン・シー・フォーエヴァー

と書いて気が付いた。じゃあ夏の前に
話題にすればいいじゃないか。もう秋だし。
確かにそうだ。では来年の夏にでも参考に
していただきたい。

ハリー・アレンジャズよりボサノバの方が
レパートリーが多いのではないかというぐらい、
アルバム(CD)のメインはボサノバがズラリと
並ぶ。最近日本でボサノバがブームになって
から、ジャズ・ボッサというジャンルもジャズの一部
として認識されている。ジャズの巨人たちスタン・
ゲッツ
キャノンボール・アダレイ、コールマン・
ホーキンス
らが演奏した曲が、普通に本来の
ボサノバの演奏家と一緒にコンピアルバムに
入っていたりする。
そういう状況を抜きにしても、ハリー・アレン
演奏は、この先達と比べても遜色ない風格を
持っているのだ。

ハリー・アレンは、テナーの巨人たちをトリビュート
したアルバム、カウント・ベイシーに捧げされた
アルバム、ソウル名曲集などをリリースしている。
彼にとっては企画物にあたるのだろうが、それに
しても骨太でいいテナーを吹く。こちらが本業
なのだといっているように、ジャズ・フィーリング
に満ちあふれたアレン節を吹く。ジャズを吹くときは
徹底してスウィングする。ボサノバを吹くときは
さわやかでムーディーの極みである。そのバランス
が絶妙で爽快なのだ。

アイ・キャン・シー・フォーエヴァー アイ・キャン・シー・フォーエヴァー

アーティスト:ハリー・アレン
販売元:BMG JAPAN
発売日:2002/05/22
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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2008年9月20日 (土)

しのびよる不安の鼓動、吼えるテンテット(テディー・チャールズ・テンテット)

人間というのはおかしなもので、心地よいものや
爽快なものも長く続いたり、何度もあると、
少し退屈になることがある。
そんな時にハラハラするものや怖いものに
刺激を求めたりすると、気分がすっきりすること
もしばしばある。(ジェットコースターや犯罪映画
など。)

強力にスウィングするパワフルバンド歌心あふれる
美しいソロの曲
、いいものでも同じ物ばかりだと
型どおりに思えて、つい、まったく違うものを聞きたい
欲求にかられるのだ。

”テディー・チャールズ・テンテット”
「ヴァイブレーションズ」
のメロディーは一聴不気味である。
背後からしのびよる不安の影とそれにおびえる鼓動。
そういったら的を得ているだろうか。人によって感じ方
が違うだろうが、まさにそんな感覚なのだ。

テディー・チャールズ・テンテット/ヴァイブレーションズ

軍楽隊の太鼓のようなドラムが打ち鳴らされる。
影の行進の始まりだ。
テディー・チャールズヴィブラ・ホーンにハモる
ようにメロディーが展開する。
気づかないうちにずいぶん近くにやってきている。
危険なアンサンブルが終わってサックスのソロに
なってホッとしていると、また、まわりから様々な音が
押しかけてくる。
あわてて全速力で逃げていくヴィブラ・ホーン
曲を聞き進むほどスリル感が増大していく。
もうここまで来れば大丈夫だと思っていると、
再び真後ろから最初のセンリツが覆いかぶさる。
そしてもう、どこにも逃げられないことを知るのだった。

よく考えると、映画や小説などのドラマ性にとって、
恐怖は重要なファクターかもしれない。

音楽にもそれを当てはめるなら、テディー・チャールズ
の音楽は最高のサスペンスだ。

トランペット1本、サックス4本、チューバ1本、ギター
1本、ヴィブラ・ホーンピアノベースドラム
それぞれ1人ずつの編成のテンテットが、聞くものを
アバンギャルドの渦に引き込んでいく。
アルト・サックスジジ・グライステナー・サッ
クス
J.R.モントローズピアノマル・ウォルド
ロン
が参加しており、なんとも豪華な構成だ。
(ん?テンテットは10人編成のはずなのに11人いるぞ!)

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2008年9月17日 (水)

名作劇場に出てこない、マシュー・じーさん(マシュー・ジー)

「赤毛のアン」マシューじいさんが出てくる。
映画の方は見たが、アニメの方は見ていない。
だからあまりストーリーは覚えてない。
ただおぼろげながら養子で男の子が欲しかった
のに女の子のアンがやって来た。不憫に思い
迎え入れることにした優しいじーさんだったのでは
なかったか。

今回のマシュー・ジーさんはそれとは全然関係ない
トロンボニストである。非難轟々あえて受けよう。
でも、苦情はうけつけない。勝手だが。

マシュー・ジー/ジャズ・バイ・ジー!

マシュー・ジーモダン・ジャズながら、メロディーを
吹かせると、スウィング時代のトミー・ドーシーのような
歌心のあるトロンボーンを吹く。おそらくスウィング時代
ならスターだろう。実際彼は多くのビッグバンドを渡り
歩いた。カウント・ベイシー、デューク・エリントンetc...。

だが世はモダン・ジャズの時代。
彼のリーダー・アルバムはこれ一枚だ。世の中には
特にジャズの世界では才能があり、アルバムを出す
チャンスがあっても、評価の低い人たちがたくさんいる。
いつのまにか、知る人ぞ知るプレイヤーになってしまい、
忘れ去られてしまう。

だから何かの縁があって、手に入れ聞いてみて、
”グッとくるアルバムだなあ”と思うものは宝物である。
その上プラスチックのCDケースではなく、紙ジャケットなので、
本物のレコードのジャケットには叶わないかもしれないが、
その雰囲気が味わえるのである。

マシュー・ジートロンボーンだがトランペットのような
明瞭なソロを吹く。それもそのはず11歳でトロンボーン
決めるまでは、トランペットも吹いていた時期もあったの
だから。

メンバーもいい。
前半5曲はアーニー・ヘンリー(as)を含むクインテット(5人
後半3曲はケニー・ドーハム(tp)、フランク・フォスター(ts)
を含むセプテット(7人)である。オール・スターと言っていい。
前半5曲はスタンダードで「スイート・ジョージア・ブラウン」
いい。
後半3曲はジーの自作曲であるが、どちらかというとスウィング
やディキシー色
が強く出ている。
メンバーが変わっても、全体聞いてみるとどの曲もよく
バランスがとれている。
やはりマシュー・ジートロンボーンの力か。
ぜひとも聞いてほしい。

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2008年9月16日 (火)

ハッパは夢をみるか?(フランシー・ボーラン=ケニー・クラーク・ビッグ・バンド)

そろそろ朝晩涼しくなってきて、秋”という
感じになってきた。この季節の定番に、
シャンソンからジャズのスタンダードになった
「枯葉」がある。だから”木の葉”というキーワードは
春より秋のイメージがつきまとう。同時に寂しげな
雰囲気も含めて。

ジャズ・メン”ララバイ””子守唄”が好きなよう
である。
スタンダードであるかないかは問わず、その名前が
つく曲がたくさんある。

ハッパが夢をみるかどうかは知らないが、
落ちていく姿はゆりかごの揺れに似てる。
その意味かどうかわからないが、木の葉の子守唄」
という曲がある。
ジェリー・マリガンなども演奏しているが、
今回はフランシー・ボーラン=ケニー・クラーク・
ビッグ・バンド
の方を取り上げることにする。

フランシー・ボーラン=ケニー・クラーク・ビッグ・バンド

少し重く引きずるような感じのアンサンブル
メロディーが演奏される。軽く軽快でないのが、
ここでは粘りがあって、ジャズの醍醐味の1つ
かもしれない。あくまで地を這いずらないぐらい
のところなのがいい。
そのアンサンブルがいかにも一体になっている
ので、音の重さが重厚感に変わってくる。
そこにアドリブでトランペットが高らかに
軽やかに歌うと、またガラリと曲に華やかさが
加わる。

地味な感じの曲だが演奏すると意外にリズムの
取り方がむずかしい。その分できた時の達成感も
大きい。
音が重いわりに流れるようなメロディーが随所に
あるので、意外とフワフワした浮遊感も感じられる
という不思議な曲だ。

まさに夢ごこちである。ユラユラゆりかごに揺られて
いるようでもある。名曲を聞いた充実感でいっぱいだ。

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2008年9月14日 (日)

モロー博士はいいハカセ(高橋達也と東京ユニオン)

ドクター・モロー

と言えば悪名高き「ドクター・モローの島」
である。そこには、モロー博士が獣を改造した
”獣人”たちが住んでいる。そして知らずに
訪れた人間たちを恐怖のドン底に落とし
入れるのだった。

でも、こちらのモロー博士はいいハカセ。
何のことを言っているかというと、
「高橋達也と東京ユニオン」「ドクター・
モロー」
という曲名のことだ。

高橋達也と東京ユニオン/アップ・イン・ザ・ブルース

この「アップ・イン・ザ・ブルース」というアルバム
のプロデューサーが、音楽家でも音楽業界の
人間でもない”医者”の「両角先生」という方
なので、その人に捧げれられた曲である。

楽しいノリノリのメロディー。そのメロディーの
アンサンブルの後、各楽器のアドリブ合戦が
始まる。プロにとっても、学生およびアマチュア
にとってもノリやすいいい曲なのだ。ノリやすい
のは演奏者だけではない。観客もウキウキ、
体も自然とスウィングする。

そう、会場が一体になれるイーイ曲なのだ。

学生のジャズのビッグ・バンドが演奏される
ホール、こんな所に来る人々は純粋に好きで
ジャズを聞きに来たか、友人から無理やり
チケットを買わされた人たちなので、多分に
ジャズというものを意識している。だから誰か
が手拍子するのを待って、それに合うように、
ズレないように、必死で手を打ち鳴らす。
それで会場は一層盛り上がっていく。

20年以上経つのに、この曲を聞くとその時の
思い出がよみがえる。だから”モロー博士”
いつまで経っても、いいハカセなのだ

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2008年9月13日 (土)

今は何時代?(ジョージ・ラッセル・オーケストラ)

ジョージ・ラッセル。聞いてみたいが難しいらしぞ。
なにしろリディアン・クロマティック・コンセプト
提唱者なんだから。とても理解できないや・・・。

最初は自分もそう思っていた。だが聞けばガラリと
印象がかわるのもジョージ・ラッセルなのだ。

こう考えてはどうだろう。ジョージ・ラッセルの音楽は
コムズカシイ。理論はもっとムズカシイ。けれどそれを
わかりやすく示してくれるのが、アルバムであり、
あると。

以前にNHKの番組で、ジョージ・ラッセルの来日時
ドキュメンタリーがあった。
ワーク・ショップをしたり、リハーサル風景を見せてくれたり
して、なかなか楽しい番組だったので、そこにはとっつき
にくさは感じなかった。今は地上波ではあまりジャズ
取り上げないので寂しいものだ。

不思議な旋律のエグゼクティックスを聞けばいい。
あやうい不協和音的なメロディーながら、なぜか
カッコイイ。お気に入りの1つだ。
ハービー・ハンコック「ワン・オブ・ザ・アナザー・カインド」や、ウッディ・ショー「スウィート・ラブ・オブ・マイン」にも匹敵するだろう。

載せたジャケットは、1956年の「ジョージ・
ラッセルの世界」
。もちろんこちらにも収録されている。

ジョージ・ラッセル/ジョージ・ラッセルの世界

ジョージラッセルの作品に
「宇宙時代のジャズ」というのがある。
来るべき宇宙時代を高らかに宣言する
ファンファーレ
のようなメロディーを軸とした、
希望に満ちたジャズだ。

でも今宇宙を見ても、”骨型の宇宙船”も
知的生命体の”黒いぬりかべ”
もいない。
スペース・シャトルは地球の
周りをぐーるぐる。昔描いていた宇宙旅行はどこにも
ないのだ。

なら今は何の時代なんだ。この数年で発達したのはケータイ
電話だけ。じゃあ、今は”ケータイ時代”なのか?

Music エズセティックス

アーティスト:ジョージ・ラッセル
販売元:ユニバーサル ミュージック クラシック
発売日:2007/10/17
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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2008年9月12日 (金)

音のびっくり箱 ジョルジュ・グルンツ・コンサート・ジャズ・バンド

これはスイング・ジャーナルレビューを見たのか、
他の雑誌を見て買ったのか、定かではない。
その時に惹かれるキーワードがあったのだと
思うが、覚えていない。
なにしろ1981年当時は、長期の休みのときしか
アルバイトはしていなかったから、2,500円の新譜
買うのさえ勇気がいった。
それを、今まで聞いたこともないバンドのレコードを
入手したのだから、期待と不安が半々だった。

ジョルジュ・グルンツ・コンサート・ジャズ・バンド/ストレート・ノー・チェイサ

管楽器の生の音とエレクトリック・ホーンのような
シンセサイザーのユニゾンのメロディーが、まるで
異国の音楽を聞いているようで、ハイスピードの
テンポの曲に思わず引き込まれてしまう。リズムと
したらサルサぽいのか?
いろんなビッグ・バンドを聞いて知識の幅を広げ
ようと考えていた頃だから、新しいものを見つけて
得意満面だ。
2曲目以降も聞いてみると、なんとも複雑怪奇。
サーカスの音楽のようでもあり、行進曲のようでも
ある。フリー・ジャズみたいでもある。と思えば、
いきなりバラードになったりもする。全部ひっくるめて
びっくり箱のように、あちこちから予想外の音が飛び
出すのだ。つかみどころがないだけ新しさを感じた。

ラストはセロニアス・モンクストレート・ノー・チェイサー
をまともに演奏したりして、アバンギャルドか、フリー・
ジャズ
か思ったら、ストレートモダン・ジャズもやる。
それもそのはず、リーダーのジョルジュ・グルンツ
フィル・フッズヨーロピアン・リズム・マシーン
参加していたピアニストである。ほかにもサックス
ジョー・ファレルトロンボーンジミー・ネッパ
メンバーである。チューバハワード・ジョンソン
加わっていたおかげで、当時はギル・エバンスなんか
とも比較されていた気がする。

コンサート・ジャズ・バンドなので、レギュラーのメンバー
ではないが、最高の出来である。
他にもう一枚持っているが、やはりこちらには
勝ってはいない。

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2008年9月 9日 (火)

サタデー・ナイト・ライブ・バンド

コメディーは好きですか?
今流行の日本の”お笑い芸人”というのでなくて、
アメリカのコメディー番組のこと。
エディー・マーフィースティーブ・マーチン
ジョン・ベルーシなど、今や映画界で確固たる
地位を得たスターたちを輩出した(ジョン・ベルーシ
は残念なことになったが)、伝説のお笑い番組、
「サタデー・ナイト・ライブ」があった。
いろんなキャラクターに扮した出演者たちの
コントによる構成で、有名なものに「ブルース・
ブラザーズ」
がある。

以前にいろんなコントの傑作選がビデオで出たとき
レンタルビデオで借りてみたが。結構笑えた。
コーン・ヘッド(つるっとした頭で、トウモロコシの
ようにとんがっている宇宙人?)は見ているだけで
笑える。

今回はそのコントの方ではなく、
番組の名前を冠した「サタデー・ナイト・ライブ・バンド」
のことだ。

サタデー・ナイト・ライブ・バンド/ジュピター

Jupiter2

最初は「ブルース・ブラザーズ」のバック・バンドとして
誕生したらしいが、ジョン・ベルーシの急死によって
解散の危機を迎えた。1983年に記念に出した1作目
「サタデー・ナイト・ライブ・バンド」というアルバムが
ヒットし、その4年後にこの2作目「ジュピター」が生まれた
のである。1987年の作品。

リーダーはトム・マローン、当時ギル・エバンス・
オーケストラ
のトロンボーン奏者、作・編曲者である。
トロンボーン1本、トランペット1本、アルト・テナー・
バリトン・サックスそれぞれ1本、ピアノ、ギター、
ベース、ドラムそれぞれ1人ずつという、
9人編成のスモール・ビッグ・バンドだ。

このバンドはフュージョン・バンドであるが、
ファンクやジャズ・ロックなど多彩な顔を
見せる。似たバンドというとバディ・リッチ・
ビッグ・バンド
に当たるだろう。人数は
それより少ないが、迫力、熱気、テクニック
において遜色ないだろう。

収録曲の中で、ピック・アップ・ザ・ピーシズ」
ホワイト・アベレージ・バンドの作なのだが、他の
バンドではバディ・リッチ・ビッグ・バンド、サタデー・ナイト
ライブ・バンド、
最近ではキャンディー・ダルファー
などがカバーをしている曲。ほぼ同じフレーズが
少しずつ音を変えながら繰り返される曲だけの構成
である。数年前大学の後輩たちが九州ビッグ・バンド・
フェスティバルを主催した際、アドリブ合戦に使って
いた。なるほどメロディーが単純なだけ、最適な
チョイスだ。
これからどんどん他のバンドも取り上げてニュー・
スタンダードになるか、楽しみな曲の1つである。

ラストに1つだけモダンジャズの曲「マイルストーン」
が演奏されている。そこが当時マイルスディヴィスに
縁の浅からぬギル・エバンス・オーケストラ在籍の
トム・マローンらしくて、なかなかいい選曲じゃないか。

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2008年9月 7日 (日)

自分にとってはAより上。(原信夫とシャープス&フラッツ)

古くからの日本のジャズ・ビッグ・バンド
少なくなってしまった。
その中で定期的にCDをリリースしているのは、
”原信夫とシャープス&フラッツ”ぐらいでは
ないか。

シャープス&フラッツのレパートリーの1つに、
「テイク・ジ・Aトレイン」がある。ライブやアルバム
でも何度も繰り返し演奏されるオハコの1つだ。
といってもただのAトレインではない。
イントロだけで1曲出来上がりそうな、凝った
アレンジのイカした1曲だ。それを毎回楽しみに
されてる人もいるだろう。

しかーし!自分の一番は他の曲なのだ。
それは1980年ライブ録音盤
「ジャズ・アンリミテッド」だ。
”ジャズに限界はない”このタイトルだけで
グッと来るではないか。

そう、”A”よりもランクが上なのだ。

原信夫とシャープス&フラッツ/ジャズ・アンリミテッド

この曲は大学生のときに八幡大学吹奏学部
「クリスタル・ハーツ」
で演奏する機会があった。
楽譜は部員が参加していたアマチュア・ビッグ・
バンドからか、OBからコピーさせてもらったかは
もう覚えてないが、複雑な構成になる大曲だ。
これを演奏するために、カセット・テープに
録音してもらい何度も楽譜と照らし合わせながら
曲を覚えていった。それ以来のスペシャルなのだ。

しのびよる足音のようなピアノのフレーズに、
トロンボーンが後を追うように加わり、続いて
サックスがそのグループに加わる。そして
最後にトランペットが参加してブラスが炸裂
する!

テーマをサックスのソロ、トランペットのソロがそれぞれ
演奏し、そのあとにトロンボーンのまったく違った
メロディーのソロで応酬する。そしていっき合奏へと
なだれ込むのだ。そしていくつかのメロディーの
異なったパートを織り込み、ドラムブラス・セクション
をあおりながら、ラストに向かってオーケストラ
エクスプロージョン(爆発)
起こしていく!!


だから、このレコードを中古屋で手に入れたときは
天にも昇る気持ちだった。この一瞬のために、
足を棒にする。苦にはならない。

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2008年9月 6日 (土)

外見は同じ、でも値段が違う(メイナード・ファーガソン:バードランド・ドリーム・バンド)

外見は同じ、でも値段が違う。
でもできるなら、いい音で聞きたい。

バードランド・ドリーム・バンド/ア・メッセージ・フロム・ニューポート/高い

バードランド・ドリーム・バンド/ア・メッセージ・フロム・ニューポート/安い

一部違うだけで、どちらも同じレコードである。
上は輸入盤下は国内盤で、上が3,500円以上、
下が1,200円と値段が違う。輸入盤のほうが高い。
(両方とも20年前の相場で)

しかし上は盤の状態が悪く、ノイズが激しい。
こちらは大阪の中古レコード屋で買ったものだ。
下は福岡の中古レコード屋で手に入れたもの。
盤の状態はかなり良好。
内容はメイナード・ファーガソンがまだ「ロッキー
のテーマ」
「スター・トレックのテーマ」などで
大ヒットをとばす前のバードランド・ドリーム・バンド
時代のもので、本格的なジャズのビッグ・バンド
なのだ。これが実は評価が高いのである。

オープニングのしぶいピアノ・ソロのイントロ、
それに続くトロンボーンのソロにしびれた。
フュージョン路線ファーガソンとはまた違う、
4ビートのカッコイイメロディー、すぐに引き
込まれて両面いっきに聞いた。(盤を裏返す
間を除いて。)

ノイズのひどい高い方でもそうだから、いい
状態のものを手に入れて聞いた時はカンゲキ
もひとしおだった。
とはいえ、ノイズがひどくても思い入れは高い
方のが強い。そうゆうものだ。(つづく)

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モンク嫌いに効く特効薬があった。(セロニアス・モンク、ブランフォード・マルサリス)

セロニアス・モンク。この名前を聞いただけで
何か苦手意識が出てしまう。ジャズ・ジャイアンツ
なのは知っている。ブルー・モンク」「ラウンド・
ミッドナイト」など名曲もある。しかし、他に聞いた
何曲かのせいで、とても敷居の高いものに思えて
しまう。

セロニアス・モンク/ミステリオーソ

ところがである。
意外なところに近道があったのだ。

前から気になっているプレイヤーに、
ブランフォード・マルサリスがいる。
最近2枚ほどCDを買ってみた。
彼の奏法は独特なもので、唐突に
単音だけの思いっきり間のあいた
メロディーを吹いたり、ロングトーンを
連発したりすることがある。無調の
フレーズをしつこく繰り返したり、
かと思うと流麗にハイスピードのソロや
アドリブを繰り広げるのである。

ブランフォード・マルサリス/ブラッグ・タウン

昔からそこが”気に”なっていたのだ。
しかしよく聞くとシンコペーションのとり方が
弟のウイントンと似ているところがある。

ブランフォード・マルサリス/トリオ・ピージー

そこに先日紹介したウイントンのライブ
CDの中の、セロニア・モンク作の「グリーン・
チムニーズ」
が重ね合わさると、

なんと!

二人の兄弟のやりたいことが
少し見えた気がした。
さらにモンクのCDを買って
聞いてみると、不思議なことに、
ちゃんとした音楽に聞こえたのである。

兄弟ともデビュー当時からかなりの
モンク好きだった。アルバムにも収録
している。ウイントンモンク曲集まで
作っているし。

もう苦手はない。克服できたようだ。
ウイントンのバンドにいたマーカス・ロバーツ
が、ウイントンからモンクを聞くように押し付け
られて、相当苦しんだらしい。彼も乗り越えた。

だから、誰だって克服できるんだ!!

モンク嫌いにマルサリス印の兄弟丸(きょうだいがん)
がよく効くようだ。

ブラッグタウン ブラッグタウン

アーティスト:ブランフォード・マルサリス
販売元:ユニバーサル ミュージック クラシック
発売日:2006/09/06
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ミステリオーソ+2 ミステリオーソ+2

アーティスト:セロニアス・モンク
販売元:ユニバーサル ミュージック クラシック
発売日:2007/09/19
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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2008年9月 3日 (水)

ジャズ・ヴォーカルもいろいろあっていい。(五十嵐はるみ)

パワフルな声、ハスキーな声、ささやく声。
しわがれた声、艶っぽい声、甘く鼻にかかった声。
女性ジャズ・ヴォーカルにもいろいろある。

まあ比較できるほどたくさん聞いているわけでも
ないが、どちらかというとウマイ歌声より、少し甘く、
かわいらしい歌声の方が好みなのだ。

「本格的なジャズじゃないね」と笑う人もいるかな?
でも好みは人それぞれなので仕方ないじゃないか。

その中でもヘソまがりなので定盤に入る歌手より、
知る人ぞ知るぐらいの歌手ばかり。
ジャケ買いして、たまたま感性があったものだからか。

外国ではビバリー・ケニー、プリシラ・パリス(←ご存知だろうか?)

日本では”五十嵐はるみ”である。

Igarashi

まずアイドル歌手のような声なのに、歌唱力は確かである。
カバー曲以外のオリジナル曲を聞けば納得できるはず。
声も他のジャズ歌手にはない類の声じゃないかな。
選曲がいい。月光値千金」とか「ダイナー」だとか、
「私の青空」だとか、昭和というより、戦前である。
エノケンが歌っているような。(子供の頃伝記ドラマで見た。
エノケン=坂本九、古川ロッパ=財津一郎だったか?)
甘くかわいい声がスイングの演奏に良く乗っている。
声が踊っている。本当に楽しそうだ。
ソロで「イン・ザ・ムード」を歌うのも面白い。

深く心にしみこんでゆくジャズ・ヴォーカルだけじゃなくて、
心がウキウキするジャズ・ヴォーカルも必要じゃないかな。

五十嵐はるみ/スウィング・ショウ スウィング・ショウ

アーティスト:五十嵐はるみ
販売元:キングレコード
発売日:2005/02/23
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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続・矢沢永吉。

先日の矢沢永吉について貴重な情報を
もらいました。
「ピノキオ」のDVDのプロモーション用に
とった曲とのこと。
まあそんなもんだろうね。
どうもありがとう。

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2008年9月 2日 (火)

ウィントン帰る。(ウィントン・マルサリス)

会社はデザイン事務所だがWEB TVを
作っている。会社のWEB TVにもブログを
書いている関係で、一定のテーマでネタを
探すためにCDを選ぶことも多くなってきた。
まあ邪道ともいえるが。

今回はごくごく狭い範囲で(自分が買っている
レコードやCD内でといこと)、
”ジャズの血筋”について書こうと思い、
日本やアメリカの親子ジャズ・マン(ウーマン)の
のCDをいくつか買ってみた。

まずキャンディー・ダルファーは持っていたので、
父親の”ダルファー”を買った。面白いところもあるが、
リズムが全て打ち込みなのでダメ。
それならと有名なマルサリス・ファミリーに変える
ため、ウィントン・マルサリスのブルー・ノート
移籍後のライブ盤を買うことにした。
ウィントンが以前にディキシーやエリントンに
立ち返った頃から興味を失ってしまって、
その後何枚か買ってはいたが、あまり
ピンと来るものがなかった。そのため
最近は全然CDを買いもしないし、聞く
こともなかった。

ウイントン・マルサリス/スタンダード・ライブ

どーしたことだ。熱いライブが繰り広げ
られている!それも初期の頃に勝る
興奮を覚えた。スタンダード集を作って
も、誰も知らない曲ばかり選曲していた
ウィントンが、「ジャスト・フレンズ」や
「恋とはどういうものかしら」なんて
ベタなスタンダード曲を演奏するとは!!

一番は冒頭の「グリーン・チムニーズ」。

最高に素晴らしい。まるで時間を
飛び越えて1950年代のヴィレッジ・
ヴァンガードやバードランドに行った
ようだ。セロニアス・モンクの曲だという。
デビューまもない頃からモンクの曲を
よく取り上げていたウィントンらしい。

ウィントンが帰ってきた。
これからはもっと買うぞ!!!
だが、それをどう文章にまとめる
かが問題だ。

となりのウイントン Book となりのウイントン

著者:小川 隆夫
販売元:日本放送出版協会
Amazon.co.jpで詳細を確認する

スタンダード・ライヴ スタンダード・ライヴ

アーティスト:ウィントン・マルサリス
販売元:EMIミュージック・ジャパン
発売日:2005/08/31
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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2008年9月 1日 (月)

ティル・ブレナーその蒼暗きトランペット

たまには新しい物も聞いてみよう。
やっぱりトランペットがいいかな。
ウィントン・マルサリスから離れてから、
ほとんどトランペットの新人を聞いていない。
日本の市原ひかりしか聞いていない。

市原ひかりのライナーにティル・ブレナーと
ドミニク・ファナリッチを聞いているとあった。
とりあえずティル・ブレナーから聞いてみよう。

ティルブレナー/オセアーナ

青天の霹靂。
まさに言葉のとおりである。
安易に聞こうとしたが、相手は手強かった。
アルバム全体の暗いトーンが部屋の照明を
翳らせるようだ。

日本ではジャズ・トランペットを吹いて歌を歌えば、
サッチモかチェット・ベイカーかということになる。
ポスト・チェット・ベイカーと言われればだいたい
想像がつく。

くつがえされた。いい意味でシネ・ジャズのような
ヨーロッパ的なサウンド。曲自体に蒼暗いフィルター
がかかっているようである。歌にも暗い影がさしてる
ようだ。

トランペットはマイルス・デイヴィスが”死刑台の
エレベーター”で演奏したような、叙情性のあるダーク・
サウンド。トランペットの演奏はリリシズムとも
ダンディズムとも感じられる感性だ。

アルバムのタイトルは「オセアーナ」。
”海”という意味らしい。その”海”の上を
カーラ、ブルーニ、マデリン・ペルー、
ルチアナ・スーザという女性ヴォーカリストが、
漂うように歌を乗せて行く。
まるでラブ・ストーリーの映画に出演して
いる女優のように。

世の中は広い。ヨーロッパも広い。色んな
プレイヤーがいるものである。

オセアーナ オセアーナ

アーティスト:ティル・ブレナー,マデリン・ペルー,ルチアナ・スーザ,カーラ・ブルーニ
販売元:ユニバーサル ミュージック クラシック
発売日:2006/04/19
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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2008年8月31日 (日)

矢沢永吉。

「SONGS」を見た。
最後の方で矢沢永吉が服部隆之のオーケストラ
をバックにして、

「星に願いを」を歌っていた。

どういう心境の変化だろう。
ロックではやることはやり尽くしたらしいが。

海外ではロッド・スチュアートやスティングと
いうロック・スターがスタンダードを歌う。
よくあることだ。年をとったら歌ってみたいのは
「ジャズ」ということだろうか。

どうせなら「~矢沢永吉スタンダードを歌う~」
というアルバムを一枚出してほしいものだ。
それほどうまくて歌にはまっていたのだ。
さすが一芸に秀でている者は全てに通じている。

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2008年8月30日 (土)

日本のビッグ・バンドが過激な時代があったんだ。(宮間利之とニュー・ハード)

ビッグ・バンドアレンジで生きもするし、
死にもする。それは世界中共通だ。
日本のビッグ・バンドも昔からアレンジを重視
してきた。外国のアレンジャーに依頼したり、
日本人でも新進の若手に活躍の場を与えた。
それがかなり過激な時代があったのだ。
チャーリー・パーカーデューク・エリントンなら、
いつの時代でも、多くの人が自分のアルバムで
取り上げる。ビッグバンドはもちろんである。
だがその2人と同じぐらいジャズサウンド・
イノベーター
でありながら、
チャールス・ミンガスは今はほとんど誰も取り
上げる人はいないのではないか。
ギル・エバンスのおかげで、映画「ビギナーズ」
デビッド・ボウイなどが出ていた。)公開時に
少し話題になっただけ。それ以降はとんと
聞かない。

1950年代前衛ジャズの嵐の吹き荒れる中、
ミンガスは登場した。低音楽器の音を基本に
すえた凄みのあるメロディー、コンボでありながら、
オーケストラのように響くサウンドづくり。彼の
音楽には「フォーバス知事の寓話(実際に
あった、黒人の高校生の入学を兵隊を使って
阻止した知事の話)に代表される政治的な
怒りがあった。それでいて「オレンジ色の
ドレス」
のような美しいメロディーの曲もある。

それを取り上げたのが、
アメリカではギル・エバンス
日本では”宮間利之とニュー・ハード”なのだ。
といいながら他にはほぼいない。

「直立猿人」では猿人が歩いて近づいてくる情景が
浮かぶ。紹介するアルバムはニュー・ハード
ミンガス作品集「ソー・ロング・チャールス」だ。

宮間利之とニュー・ハード/ソー・ロング・チャールス

よく知られた曲のカバー、それもビッグ・バンド
場合は、その曲を聞きたいかどうかは、イントロ
決まると思う。興味深いイントロならつかみはOK。
その後大迫力の音の洪水となれば大満足だ。
ニュー・ハードのオーケストレーションにはその
要素が詰まっている。全編猿人の雄たけびのような
音のアンサンブルにあふれ、前衛の良さをさらに
引き出している。それでいながら、オーケストラの
曲の構成がうまくまとまっていて、大興奮の一曲だ。

他の収録曲もミンガスの音楽を知り尽くした音作り。
これはミンガス・ファンでなくても、オーケストラ・ファン
でなくても、ジャズ・ファンなら聞けばわかるはず!
見つけたら、買うことをオススメする。(中古屋にしか
ないと思うが。)

ちなみに宮間利之とニュー・ハードには他に、初めて
「直立猿人」を収録したアルバム「パースペクティブ」
があるし、

宮間利之とニュー・ハード/パースペクティブ

1971年チャールス・ミンガスが初来日した
際に共演して「チャールス・ミンガス」というアルバムも
出しているが、廃盤である。

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2008年8月28日 (木)

原曲は超有名、それを超えるのがビッグ・バンドの醍醐味!!

「ウナ・マス」
ジャズ好きには良く知られている曲だろう。
ラテン・タッチのユニークなリズムでありながら、
カッコイイ曲だ。

カバーは原曲を超えないとよく言われる。
多くはそうだろう。だが確実に一つはある。
それをやってのけたのが、

「クラーク・テリー・ビッグ・バッド・バンド」だ!

クラーク・テリー・ビッグ・バッド・バンド/ライブ

原曲を聞く前にこちらのバージョンを聞いた
というのもある。手に入れた当時は聞くのは
ビッグ・バンドほぼオンリーというのもあったが、
それを差し引いても、

・イントロがいい。
・アンサンブルがきまりすぎ。
・アドリブが歌えそうなほど曲にマッチしている。
・当然ながら、迫力が違う!!


それだけ揃って原曲より悪いわけがない!!!

ライブ録音なので、何か空気が特別で、
臨場感が感じられるのもいい。
時代を超えて音が語りかけてくる。
プレーヤーたちの息吹が聞こえる。
ただの記録というのではなく、時を
切り取るような、ライブは貴重である。
他にもこのバンドのレコードを1枚
持っているが、こちらの方が断然いい。

どういういきさつかわからないが、
サインがしてある。
こういう1枚を見つけられるのだから、
中古レコード屋通いはやめられない。

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2008年8月24日 (日)

グレン・ミラーとベニー・グッドマンだけがスウィングだと思ってる君へ。

グレン・ミラー楽団ベニー・グッドマン楽団
この2つを知っていればスウィングは十分でしょう!

そう思っている君へ。
君はずいぶん損をしている。

まあ日本ではこの2つしかメディアで取り上げないことも
ある。それは功罪ともいえる。
それから先は?なにも手がかりがないじゃないか。
たいていの人はそう思う。
この2つで満足している人もいるだろう。
それがダメだといっているんじゃない。
隠れ秘湯やオススメメニュー料理の店を知るのと
同じくらい、得する。人生が豊になる。
たまには定番本を捨てて街に出よう。

街には色んなレコードやCDがある。
たまには勘を信じよう。
意外な発見があるものだ。

こんなCDがある。
ベニー・カーター「恋するシンシア

ベニー・カーター/恋するシンシア

ベニー・カーターは自分のビッグ・バンドを持つ
かたわら、アレンジャーとして他のバンドにも曲を
提供する。カウント・ベイシーなどがそうだ。
いい曲も作る。真夜中の太陽は沈まず」
多くのプレイヤーがカバーし、情景が浮かぶ
ような楽曲は秀逸だ。

このCDを聞いて、
”なんかダンス・バンドみたいだな”
と思う人もいるだろう。

でもいいじゃないか。

スウィングの発展はダンス・ホールにある。
ダンス音楽を演奏するためにビッグ・バンド
誕生し、そこからアレンジが重視され、
アンチテーゼとしてビー・パップが生まれた。
その中間とも言える音楽に、
心をからっぽにして聞き入るのも、
リラックスできて、案外いいかもよ。

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2007年12月16日 (日)

この国はルイ・ベルソンを忘れていないか

現在手に入るCDでビッグ・バンドのものはどのくらいだろう。
ジャズ全体に比べるとパーセントはかなり低いだろう。
毎年リリースされるものはかなり少なく、かろうじて
カウント・ベイシーデューク・エリントンが同じタイトルを
繰り返し発売しているだけである。
レコードが中心のときはよかった。
輸入盤にしてもけっこう手に入っていたものだ。
「スイング・ガールズ」がヒットしてビッグ・バンド・ブームが
おこったと思ったが、グレン・ミラーやベニーグッドマン止まり。
売れないから出さないのだろうか?

最初にルイ・ベルソン・ビッグ・バンドと出会ったのは
いつだったか。まだイムズもソラリアもなかった時、
たしかビブレの地下の名曲堂だっただろうか。
まだいたるところにレコード屋や中古レコード屋が
あった頃だ。

ルイ・ベルソン・ビッグ・バンドはCDで見たことがない。
ダイナミックでメロディアス、あんなに歌うドラマーは
聞いたことがない。ドラムで歌う。聞けばわかる。
アレンジャーのドン・メンザのスパニッシュ・ムード
あふれる美しいメロディーをぜひ聞いてもらいたい。
このレコードのビニール袋に赤いDのマークがある。
そういえば、小倉のデオニー(現デオデオ)にも
レコードが置いてあったなあ。

Dynamite_3

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2007年4月 6日 (金)

パイクば、マリンバ、ラ・バンバ

Pike_1 

ひさびさにCD紹介です。ヴィブラホーン奏者の
デイブ・パイクのアルバムで、その名も「リンボ・
カーニバル」
。カリプソばかり集めたジャズは
本当に珍しい。このアルバムではデイブ・パイクは
マリンバとヴィブラホーンを使い分けています。
マリンバを使っているとあって、クラシックぽいかと
思うとそうでもない。踊るようなカリプソのリズムが
ジャズ・テイストながらまた違う民族音楽的な趣を
持っています。かといって、ジャズ・ファンの期待も
裏切らず、チャーリー・パーカーやソニー・ロリンズの
カリプソ風の曲もレパートリーに入れていて、飽きさせ
ません。
スティール・パン・ファンの自分にも馴染み深いマチルダや
ジャマイカ・フェアウェルもあり、楽しいアルバムに仕上がって
います。
デイブ・パイクがマリンバを使ったのはスティール・パンの
音を連想させるからだということ。個人的に言えばヴィブラ
ホーンの方が響き的には似ていると思うのですが。異色作で
意欲作、そしてカリプソの曲の入門にも最適ではないでしょうか。
(もちろんラ・バンバも入っていますよ。)

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2007年2月 5日 (月)

ギターを抱いたジョージさん(ジョージ・ラッセルあれこれ)

世の中ジャケットだけ見ても何のレコードか
わからないものがある。

さらに今ひとつパッとしない写真を使っているものは注目度も
かなり落ちしまって正当な評価を受けないものも多い。
でも中には"拾い物"に当たることも。

ジョージ・ラッセル/ギター

さて、今回のレコードのジョージさんとは、
ジョージ・ラッセルその人。ピアノ兼
アレンジャーとして活躍していた。
ここでのウィズ・オーケストラとは
ジョージ・ラッセル・オーケストラでは
なく、ジーミー・ハスケル楽団。とすれば、
ギターを弾いているのはジョージさんしか
いないでしょう。シェリー・マンとビクター・
フェルドマンがパーカッションで参加してます。

「今度ギター・メインのアルバム出すんだよねえ。
でもまだジャケット用の写真が撮れてないんだ。」

「じゃあ、ここらで一枚撮っとく?」

「いいねえ~。」

というやり取りがあったかどうか知らないが、
何かスナップ写真な感じ。ポーズも少し日活
アクション映画
してるし。かわいそうなことに
処分品のダンボールにビニール袋無しで
置いていた。
このアルバムはジャズではない。
ジョージ・ラッセルの名前がなかったら
買わなかっただろう。
でもイージーリスニングとしてはなかなか
美しいメロディーラインの曲がばかり。
それに難しい理論を使っているような不思議な
旋律が繰り広げられている。
ボザノバが日本で市民権を得た今なら、
このレコードが再評価されることもあるかも
しれない。

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