たまにフランス映画が急に見たくなることがある。
昔はテレビでよくいろんなフランス映画をやっていたが、
今はほとんどない。見るとするとレンタルビデオを借りるか
DVDをを買うか。レンタルは返すのが億劫なので、
あまりいかない。そうするとDVDを買うしかないか…。
いざDVDを買うとなると、”ああ、これは前にテレビでみたなあ”
”最近のフランス映画はドロドロした恋愛物ばかりだなあ”
とかで、なかなか決まらない。情報もなかなか手に入らない
のもあるが、アメリカのスターほど名前を知らない(あるいは
覚えられない)というのもある。
今回はパッケージの写真がいいのと、モノクロ映画ということで、
「気のいい女たち」を選んだ。まったく聞いたことのない映画
である。それもそのはず、1960年フランス公開にもかかわらず、
日本で初めて公開されたのが1995年で、そうとうに埋もれた
映画なのである。
登場人物の中心になるのは、町の電気店で働く4人の若い娘たち。
たまに来るお客が買うものといえば、電池か電球くらいであまり
仕事にもやる気がなさそうである。彼女たちの楽しみはむしろ
勤務の終了時間の7時を越えてからであり、4人は仲が良く
それから夜の町へ一緒に遊びにくりだすのである。
それにしても登場人物の4人の内の3人が顔がよくにていて
区別しにくい。黒髪そして目の色はモノクロでわからないが、
暗い色をしている。名前もジャーヌ、ジャクリーヌ、
ジネットとわかりづらい。だが映画がすすむうち性格も
なんとなくわかってくるころから、次第に区別がつくように
なってきた。
ジャーヌはノリがよく騒ぐのが大好きで、ナンパされればついて
いって一夜をともにするような奔放な娘。ジャクリーヌは仕事中
でもいつもボーっとしていて、感情をあまり顔に出さない何を考えて
いるかわからない娘。ジネットはジャクリーヌのルームメイトだが、
時々1人で行動することのある謎の多い娘。
最初は群像劇のようで、誰かにスポットを当ててストーリーが
進むことはない。だが4人のまわりをいつもバイクに乗った男が
うろつくようになってから、その中の1人を中心に話はまわり
だすのだった。その1人の女性とは。
一番仕事にも恋にもやる気のなさそうなジャクリーヌである。
ジャクリーヌはその男の存在に早くから気づいていて、
「誰を見ているのかしら」と気になってしょうがない。
そのうちどこへ行ってもバイクの男の姿を探すようになる。
感情に乏しいように見えたジャクリーヌこそ、一番
”白馬に乗った王子様”を待っているお姫様なのであった。
では、バイクは現代の(といっても1960年代の)白馬のタトエか。
それにしてもこのバイクの男なんとなく胡散臭い。
目もなんとなくギラギラしていて、フランス映画のヤサ男と違って
いるなと思ったら、仏伊合作だった。なるほどね、イタリアなら
いるかもしれない。
4人が町の室内プールで、2人の悪ふざけのすぎる男たちに
プールの中に何度も沈められて困っているとき、バイクの
男が助けに入り、それから2人の仲は急接近する。
バイクの男は「話しかける機会を待っていた」といって
いたが、どうもそんな風に見えない。しかし恋する乙女は
すべて鵜呑みにしてしまう。
そして衝撃のラストへ。公開当時も賛否両論あったと
いう。もしかしたら、昔より今の方がこの終わり方も
あるのかも。意外といい映画だった。
日本映画「狂った果実」のパリ公開がヌーヴェル
ヴァーグに大いに影響があったことはよく知られて
いる。今見ても日本映画というより、ヨーロッパ的な
香りがする。
この「気のいい女たち」にはキャバレーかナイトクラブ
のシーンがよく出てくる。まるで昭和30年代の日活
映画のようだ。昼間は死んだようで、夜は生き生きと
遊び回る。まあ、どこの国でも若者の風俗慣習
は同じだよと言われればそれまでだが。
「狂った果実」と「この映画」を見てふと思った。
科学文明は進化した。しかし人は進化したか。
家にも帰らず夜更けまで盛り場をうろつき、
仲間とたむろして時には無軌道な行動もする。
最近昭和30年代が流行したが、そのころと
よく似ていないか。
人は変わっていないし、退化しているかも
しれない。
カワント・フルシー・JAZZ・トーケストラ・トップ・ページヘ
最近のコメント