アドロをジャズで聞きたい(ドミニク・ファリナッチ)
「アドロ」はニニ・ロッソが吹いている。
それは昔から知っていた。
当然ながらジャズではない。
それで手をこまねいていた。
それでもジャズで「アドロ」を聞きたい・・・。
その理由はソリストのファースト・ステップ
というイメージがあったからだ。
20数年前の八幡大学(現九州国際大学)の
吹奏楽部「クリスタル・ハーツ」には、
ビッグ・バンド・アレンジの「アドロ」の楽譜が
あった。ニニ・ロッソはイージー・リスニング
なのでバックがストリングス・オーケストラと
なっている。これもこれで完成度が高いのだが、
どうしてもクラシックぽい。それがビッグ・バンド
編成となると、少しジャズ寄りになるのだ。
たいてい新入生にはこの曲のソロが最初に
あたえられた。大学に入ってからトランペットを
始めた自分は遠く及ばず、楽器を持つまで
1年かかった。
吹奏楽(ジャズ・ビッグ・バンドだけど)の世界は
きびしい。所ジョージの番組で高校生の吹奏楽の
特集を見た方ならわかるかもしれないけど、ソロを
取れるのは1人か2人、しかも同じ楽器のセクション
の人数が4、5人いても、実力の差から同じ人間に
集中することになる。例外のない現実である。
自分はソロのとれない組の方だったので、「アドロ」
には憧れに似た感情を持っていたのである。
前に市原ひかりが共演したドミニク・ファリナッチ。
興味があったので何枚か曲目を見比べながら
選んでいると、
「アドロ」があったのだ。
あの「アドロ」が!
さっそく買ってみた。
「アドロ」というのは元来、静かに始まって徐々に
燃え上がっていき、また静かに幕を引く曲である。
ドミニク・ファリナッチのバージョンの方は
静かというより寂しげに始まる。そして急に
少しテンポ・アップして、後のりのジャズっぽい
吹き方に変わる。アドリブをはさんで徐々に
燃え上がっていき、それに呼応するように
リズム・セクションが発熱し、ピアノが軽快なタッチで
見せ場を披露した後、再びトランペットにバトン・タッチ
して終わるのだった。
他にはボサノバ・タッチの「ボディ・アンド・ソウル」
が面白い。
ドミニク・ファリナッチは静かなる炎のようでいて、
驚くほどパッションを惜しみなくほとばさせている
稀有な存在だった。
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