2009年10月12日 (月)

歌上手の悲哀(チェット・ベイカー)

考えてみれば、チェット・ベイカーほど理想的な
ジャズ・ミュージシャンはいない。
歌を歌えば、よく言われる中性的な声は十二分に
憂いを帯び、ジャズにはもってこいで、
かなりの美声である。
トランペットを吹けば歌心満点で、その表現力に
他の楽器奏者でさえ、彼のように吹けたらと、
嫉妬したくらいである。
まさにジャズを演奏するために生まれてきたと
いえるだろう。

今の若者は音楽と聞くのに、特にこれというジャンルに
こだわらず、いい曲はいい曲として、曲単位で聞くそうだ。

音楽業界もそういう人たちに向けてか、各ジャンルの
「いいとこどり」のようなコンピレーションアルバムを
たくさん出している。

ジャズもご多分にもれず定番物のコンピレーションを
毎年のようにリリースしているが、その中に
よくチェット・ベイカーの曲も良く選ばれる。

それはいいことだが、問題は歌物に限る場合が
ほとんどだということだ。トランペットの演奏のみ
取り上げているものは少ない。

チェット・ベイカーが生きている頃なら、ファンは
均等に聞いたかもしれないが、今の人たちは
コンピ盤から入ると、それからアルバムを買った
としても、

「ああ、チェット・ベイカー・シングはいいね。」

で終わるのが関の山だ。
まあ、自分自身、毎日チェット・ベイカーの歌を
聞いていた時期もあったので、えらそうなことは
言えないが。

チェット・ベイカーが空の上からその状況を
見ていたらどうだろうか。

「もっと俺の演奏の方を聞いてくれ」
と言うかもしれない。
歌にだけスポットライが当たっているのは、
きっと悲しいに違いないだろう。(づづく)

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2009年4月27日 (月)

ロッキーの大復活!!

ロッキーと聞いてシルベスター・スタローンのことを
思い浮かべる人が多いだろう。
でも今回取り上げる”ロッキー”とは、テーマソングの方で、
それをカバーして大ヒットさせたメイナード・ファーガソン
のことである。

残念なことに近年メイナードファーガソンは亡くなった
ので、もう”ロッキーのテーマ”「ゴナ・フライ・ナウ」
は聞けないと思っていた。

以前北九州の小倉にホールファーガソンが来た
時、そのコンサートに行くことができた。
熱望していたビッグ・バンドではなくコンボでの来日
だったが、観客を熱狂の渦の中に巻き込んだ。その中
でも”ロッキーのテーマ”が始まると、拍手と熱が一層
高まったと覚えている。

それが、ラッセ・リンドグレンと巨大星雲ビッグ・バンド
の手によってよみがえったのだ!
全曲ファーガソンのレパートリーのアルバム「金管王」
によって。あの時の興奮が再び戻ってきた。

Photo

世の中のトリビュート・アルバムの多くはただその人の
ヒット曲を集めただけのものが多い。最近ではそれに有名な
ミュージシャンをあてはめた、いかにも商業的なものが
はびこっているような気がする。
全部悪いとは言わないが。

このアルバムがそれらと違うのは、バードランド」「エアジン」
といったヒット曲のみでなく、いろいろなアルバムの中に入って
いる曲をチョイスしていることだろう。

そしてリーダーのラッセ・リンドグレンのまるで
ファーガソンが乗り移ったかのようなフレーズ、ハイ・ノート
(オクターブの高い音)に”ファーガソンのスピリッツ”
感じるのだ。ファンなら一気に超高音まで高速で駆け上がる
フレーズに、

「おおっ、これだ!」と興奮するだろう。

このアルバムに魂を吹き込んでいる存在がもう1つある。
それはラッセ・リンドグレンと共同でこのアルバムを
プロデュースしたアーニー・ガーサイドから渡された
”トランペット”である。

ファーガソンのマネージャーをしていたことのある
アーニー・ガーサイドが、実際にファーガソン
使っていた”トランペット”ラッセ・リンドグレン
このアルバムのために渡した逸話は、アルバムのライナー
ノートに書かれているが、このトランペットから発する音が
”ファーガソンらしさ”を増幅していることは間違いない
だろう。

ファーガソン・ファンにも、ファーガソンを知らない人たちにも
聞いて欲しい、「金管王」といううタイトルにふさわしい
エキサイティングなアルバムだ。

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2009年1月12日 (月)

コンボでもビッグなサウンド(村田陽一とソリッド・ブラス)

村田陽一のCDを買ったのは、
ある”勘違い”がきっかけである。

その時所属していたアマチュア・ビッグ・
バンド
で演奏した、
「放蕩息子の帰還」という曲を気に入り、
その曲が入ってるスーパー・トロンボーン
「ハロー・ヤング・ラバーズ」のCDを
CDショップで取り寄せようとしたが、
廃盤で手に入らず、たまたま同じ
トロンボーンで当時売り出し中であった
村田陽一とソリッド・ブラスのCDの中に、
原題が同じ”RETURN OF PRODIGAL SON”
という曲を発見したからだ。

カバーだと思って聞いてみたが、予想に
反して同名異曲だとわかったが、
アンサンブルはそれを補って余りあるほど、
素晴らしいものだった。
それまでトランペットの高音ばかり好んで
聞いたいた傾向が、低音のハーモニー
けっこういいぞ」と変わり始めたのだった。
それに1曲でも自分のツボにはまる曲が
あれば、それだけでもう買いなのである。

Double

1995年の作品であるこの「ダブル・エッジ」では、
「グッド-バイ・ポーク・パイ・ハット」、
チャールス・ミンガスの曲だ。
ミンガスジャズ・ミュージシャンには
受けがいいらしい。

最初はトランペット2本、サックス3本、
トロンボーン2本と思ったが、トロンボーン
は1本で、1本はチューバだった。
リズムはドラムのみ。村上”ポンタ”秀一
叩いている。なんとも変則的な8人バンドだ。
サックスの構成はアルト、テナーバリトン
が加わっているので、より低音度が濃くなって
いるのがミソで、重厚さが増している。
チューバベースの代わりをしているのだろう。
大編成のビッグ・バンドではチューバは聞いた
ことがあるが、コンボはあまり聞いたことがない。
その上各人が持ちかえでユーフォニウム
フルートソプラノ・サックスクラリネットなど
多彩な楽器を使っているので、並みのビッグ・
バンド
を軽く超えたサウンドの豊かさを持っている。

トランペットエリック宮城が加わっているので、
1曲ぐらい提供しているかと思ったが、オリジナル
曲の作曲とカバー曲のアレンジは全て村田陽一
が担当している。

人数は8人だが、ビッグ・バンドに匹敵するパワーだ。

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2009年1月 6日 (火)

ギャラリー:ウシー・スミスをUPしました。

手づくり牛人形(紙粘土)で背景を
春っぽく変えてみました。

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2009年のはじまり

Ushi1

本年もよろしくお願いいたします。

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2008年12月30日 (火)

惜しまれつつ解散。(原信夫とシャープス&フラッツ)

原信夫とシャープス&フラッツもとうとう解散だという。
解散コンサートは山口県下松市でもあるらしいが、
3月の平日なので行くことができない。
まことに残念。
思えばジャズを聞くようになって、テイク・ジ・A・トレイン」
「ジャズ・アンリミテッド」「サー・デューク」など
数々の曲に魅せられ、レコードを買い集め、
まだ買ってないものを求めて中古レコード屋で見つける
たび即買っていた。
マリンピアくろいでは歌手の伴奏にのみだったが、
できれば1曲でも多くシャープス&フラッツのみで
演奏してくれないかと祈ったものだ。
自分にとって、日本のビッグ・バンドで一番多く
ビッグ・バンドの楽しさを教えてくれたバンドである。
ぜひともどこの開催地でもいいから、ライブCD
出してほしいものだ。

今回はCDで手に入るものを紹介しよう。
結成45周年記念でリリースされた
「アイ・ガット・リズム」がそれだ。

Sirduke

さっき言った「サー・デューク」(スティービー・
ワンダー作)
も収録されているのでジャズの曲に
馴染みのない人にもオススメだ。
ジャズのスタンダードをよく知っている人には
「ジ・インクラウド」「シャイニー・ストッキングス」
「ザ・シャドー・オブ・ユア・スマイル(いそしぎ)」

などの有名曲が入っているのでお得盤である。

これによって日本のビッグ・バンドの灯が消えないことを
望んでいる。

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f.a.n!tvはご存知ですか?

久しぶりに会社のWEB TVのブログに記事をアップ
しました。
以前紹介した猫の話猫のトラウマ)をもとに、
アルバムと曲を3つ紹介しました。
こちらの方はバック・ナンバーがたくさんあります
ので、良かったら、見に行ってください。

f.a.n!tvから「コチラ編集局」に入って
「フルカワJAZZ道場」に入るか、

もしくは、
f.a.n!tvニュースより「寒い夜の国に帰った猫」
入ってみてください。

f.a.n!tv ファン! ティービー

ローカルスタンダードなリアル福岡を全国へ動画配信




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2008年12月23日 (火)

悲しいのにハッピー。(ソニー・スティット)

お気に入りのジャズ・プレイヤーのCDを買った。
クリフォード・ブラウン
「クリフォード・ブラウン・モア・メモラブル・
 トラックス」


ソニースティット
「コンストレーション」、
「ソニー・スティット・ウィズ・ジャック・マクダフ/
スティット・ミーツ・ブラザー・マクダフ」、
「37ミニッツ48セカンズ」

である。
今はどれも中古レコード屋でしか手に入らない。
売れるものしか再発しないという結果だろう。
こういうのは見たときに買わねば。

今回はそのソニースティットの話だ。
彼は演奏があまりにチャーリー・パーカー
似ているということで、チャーリー・パーカー
生きている時はアルト・サックスを捨てざるを
得ず、テナー・サックスを中心に活動した。
ジャズ・プレイヤーとしては一流のものを持ちながら
革新的なものがないからか、決して正当な評価は
受けなかったという。

しかしそんなことは感じさせないくらい
ソニー・スティットサックスハッピーだ。
吹くのが楽しくてたまらないという感じだ。
そういう演奏が気に入って集めている。

そのソニー・スティットでさえも時代の流れ
には逆らえず、フュージョンのアルバムを
出さなければならなかった。レパートリーも
ジャズスタンダードではなく、1973年当時の
ヒット曲で固めたアルバムが
「ミスター・ボージャングルズ」だ。

Bojangles1

ここでのソニー・スティットは自分なりに消化して
良質なフュージョン・アルバムを作っている。
アルト・サックス中心で演奏しており、
「ミスター・ボージャングルズ」、
「世界はゲットーだ」、
「やさしく歌って」
などいつもとはまったく違う
レパートリーをしていても、そのハッピーさは変わって
いない。
ただアドリブになるといつものような音の激流と
なり、演奏曲目は変われどもスピリット
本格ジャズを演奏している時と変わっていないぞ
といっているようだ。
ローランド・ハナエレクトリック・ピアノ
コーネル・デュプリギター
リチャード・ディヴィスエレクトリック・ベース
フュージョンの初期の頃のいい雰囲気をかもし
出している。
その上フルートフレンチホルン、ヴィブラホーン、
さらにドン・セベスキー指揮のストリングス入りで
フュージョン・アルバムとは思えないくらい豪華で
せいたくなサウンドになっているのがスゴイ。
個人的にはマイケル・ジャクソンの歌で有名な
「ベン」をオススメする。

ジャケットもいつものアーシー(泥臭い)な感じから、
オシャレな感じになっているのがいい。
タップダンサーの格好だというが、裏面のジャケットを
みるとミュージカルスターのようで、今にも歌って踊り
そうだ。ジャケットはアルバムの曲目とは直接関係
なさそうだが、彼のサックスは十二分に歌って
踊っている。

Bojangles2

そんな上質のアルバムなのだが、他で取り上げられ
見たことがない。想像するに、今度は

”スティットらしくない”
”本格派ジャズでない”

ということで埋もれて言ったのではないか。
全くジャズ・ファンというのは勝手なものだ。
実力がありながら不幸である。
最後のライブは日本で、その時は末期のガンに
おかされていて、まともに吹けなかったそうだ。
それでも本格的なジャズを受け入れてくれる
”日本”という国を愛し、文字通り命をかけて
来日したのだ。

帰国後数日で彼は帰らぬ人となった。

悲しいくらい不幸な人生だが、
その人生を感じさせないくらい彼の演奏は
ハッピーである。
サックスが吹けて、レコーディングできて
アルバムが出せれば彼はハッピーだったのだろう。
ソニー・スティットは58歳の生涯で100枚以上
アルバムを残している。

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2008年12月13日 (土)

猫のトラウマ

彦島の入口、関彦橋(かんげんきょう渡って
すぐ右、にロータリーというバス停があり、
そこはバス路線の分岐点となっていた。

もう10年以上前になるが、そのバス停の
ベンチの上に、いつの頃からか”大きな猫”
居座るようになった。普通の猫より2まわり
大きな、明るい茶色の毛のトラネコのようだったが、
もしかしたら血統書付きの舶来の猫だったかも
しれない。
しかも一日中いるというのではなく、人通りの少なく
なる夜間になってから現れるのだった。
まだバスが通り、人が乗り降りするのにもかかわらず、
ドッカとベンチにのっかって、微動だにしない。
なんともふてぶてしい猫だった。
その猫が歩いている姿を見たこともなく、どこから
来るのかもわからなかったが、長い月日そこに
いるので、人々の話題にのぼるようになっていた。

その頃過激なペット・ブームの影響で、
外国産の犬猫がたくさん輸入されていた。
またその反面、他人のペットを勝手に
取って行ってしまう困った人たちも横行していた。

ある夜その手の1人が、その猫をさらっていこう
としたが、岩のように動かない。なんとか抱きかかえ
ても、その巨体の重さでかかえ続けることができず
落としてしまって、猫は逃げてしまった。
たまたま通りかかった自分は、なぜか猫に拍手喝采
をしたい気分だった。

ある小雨の降る日、片手に物をぎっしり詰めた
重いカバンと、もう片手にB2の水貼り用のパネル
トランペットの楽器ケースを持っていた。
いつもバスの降車口から勢いよく飛び降りるのが
クセだったので、その日も同じ用に行動した。
いかんせん両手に重い荷物を持っていたので、
地面に着地した瞬間、両手が下に引っ張られて

「グキッ!」

首に激痛が走った。
今思えば、それが今に至る肩痛の始まりだった。
自業自得だ。
あまりの痛さに、思わずデカ猫ののっている
ベンチの空いたところに荷物を置いてしまった。
するとどうだろう。
今まで動くところなど見たこともないその猫が、
驚くほどの敏捷さで逃げていった。
驚かせる気は毛頭なかったのに。

それ以後ベンチにのっているのを
一度見たが、自分の姿を見ると
すごすご去っていってしまった。
それから猫の姿は見ない。
あの日のことがトラウマになったのか。
今はざんげの気持ちも込めてこれを
書いている。

彼(彼女かもしれないが)のために、
マル・ウォルドロン「レフト・アローン」
の中で「レフト・アローン」より好きな
「キャット・ウォーク」を贈ろう。

マル・ウォルドロン/レフト・アローン

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2008年12月 8日 (月)

12月になると

12月になると、CDのリリースが増えるような気が
する。おそらくボーナスクリスマス・シーズン
狙ってのものだろうが、特にシリーズ物の
昔のジャズ・CDのリリース
が毎年のようにあっている。
価格も年々安くなり、1,500円、1,100円、1,000円など
様々だ。ラインナップもバラエティーに富んでいて、
選ぶのに困るほどである。

今年はまだ出ていないようだ。どちらかというと今年は
高品質のCDが流行っているのか、値段も新譜と
そう変わらないものばかりだ。
オーディオ・マニアの人は買うかもしれない。
では一般の人たちはどうだろうか。
ちょっと聞いてみようという値段ではないので、
枚数は売れないだろう。
オーディオ・マニアの人たちも興味本位で買うかも
しれないが、やはりレコードの方がいいと言うだろう。

いつか余裕があれば1、2枚買うかもしれないが、
やはり廉価盤の方が買いやすい。
どこのレーベルでもいいから出してくれないものか。

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